若手研究者紹介：伊藤 太久磨 講師

若手研究者紹介：082

機械工学専攻　知能化モビリティ（伊藤太久磨）研究室　伊藤 太久磨　講師

【経歴】

2007年３月　東京大学 工学部産業機械工学科　卒業

2009年３月　東京大学 大学院工学系研究科産業機械工学専攻 修士課程　修了

2012年３月　東京大学 大学院工学系研究科機械工学専攻 博士課程　修了

2010年４月 - 2012年３月　日本学術振興会特別研究員（DC2）

2012年４月 - 2019年９月　東京大学 高齢社会総合研究機構　特任研究員

2019年10月 - 2021年11月　東京大学 大学院工学系研究科機械工学専攻　特任講師

2021年12月 - 現在　東京大学 大学院工学系研究科機械工学専攻　講師

2023年１月 - 2023年９月　ミシガン大学 Mcity Visiting Research Scholar

【研究について】

超高齢社会を迎えた日本では、高齢者の移動手段の確保が重要な課題となります。都市部と地方では生活環境が異なるため、高齢者の移動に必要となるモビリティの形態もそれに応じて変わりますが、安全な移動を実現するためには高齢者のモビリティ操作の支援・代替が必要となります。私は、この様な背景から様々なセンサやコンピュータを移動体に搭載させた知能化モビリティの研究に取り組んでいます。知能化モビリティの研究には、車両システムの研究だけではなく、そのモビリティのユーザの研究や、街との連携の研究等も必要になり、様々な観点からSociety 5.0時代の新しいモビリティの研究に取り組んでいます。

１）知能化モビリティシステムの研究

自動車やパーソナルモビリティを対象として、自律型の知能化モビリティの研究に取り組んでいます。知能化モビリティによる自動制御や高度運転支援を実現するためには、モビリティ自体が走行環境を認識する必要があります。特に、交通事故が近年多発している生活道路では走路境界線等も整備されていないため、従来のカメラによる走行環境認識技術だけではなく、LIDAR等も活用した新しい走行環境認識技術の研究に取り組んでいます。また、高性能な車載センサに過度に依存したシステム開発は普及の阻害要因となるため、リーンな電子地図の研究や車載センサと電子地図の相補的な連携による走行環境認識技術の研究にも取り組んでいます。そして、この様に得られた走行環境の情報をもとに、見通しの悪い路地での先読み減速制御介入技術等の車両制御の研究にも取り組んでいます。

２）知能化モビリティのユーザの研究

モビリティの自動制御の研究開発は進展しつつありますが、そういった技術を有効的に活用するためにはユーザの研究も重要です。そこで、ドライビングシミュレータや模擬市街路等を活用して、ユーザ特性を把握するための研究や高度運転支援技術の受容性評価の研究にも取り組んでいます。また、人の運転と機械の自動制御を組み合わせた人間機械協調制御の研究にも取り組んでおり、機械のバックアップによって安全性を確保しつつ、人の主体的な運転を実現するための研究にも取り組んでいます。

３）スマートシティとモビリティの連携

近年、防犯・防災等の目的で街の中に様々なセンサを設置するスマートシティの検討が進んでいます。モビリティの分野でも移動サービスの領域での応用が検討されていますが、車両制御の領域ではその検討はまだ十分とは言えません。例えば、単独では自動運転は出来ないレベルのモビリティでも、スマートシティの中では様々な情報資源のバックアップを受ける事で疑似的な自動運転が可能になる、といった様なモビリティの性能向上が期待できます。また、周囲を移動する歩行者や自転車利用者の移動情報も活用する事で、自動車だけではなく様々な交通参加者の情報を包括的に活用する新しい安全システムの実現も期待されます。この様な次世代型のモビリティの安全システムの実現を目指して、スマートシティとモビリティの連携に関する研究に取り組んでいます。

【今後の抱負】

情報通信技術の進展に合わせて、モビリティの分野でも情報化が進んでいます。従来の機械工学や制御工学を基盤としつつ、そこに情報通信技術やAI等の新しい技術をうまく組み合わせる事で、誰もが安心して安全に移動できる社会の実現に向けて研究を進めていきたいと考えています。

【URL】

知能化モビリティ研究室（伊藤 太久磨研究室）：https://sites.google.com/g.ecc.u-tokyo.ac.jp/iml/

伊藤 太久磨（reseachmap）：https://researchmap.jp/takumaito1984