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若手研究者紹介:藤井 秀樹 准教授

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システム創成学専攻 吉村・藤井研究室 藤井 秀樹 准教授

 

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【経歴】

2009年3月 東京大学 大学院新領域創成科学研究科人間環境学専攻博士後期課程修了 博士(環境学)

2009年4 - 20103月 東京大学 人工物工学研究センター価値創成イニシアティブ(住友商事)寄付研究部門 特任助教

2010年4- 20109月 東京大学 大学院工学系研究科システム創成学専攻 特任助教

2010年9- 20131月 東京大学 大学院工学系研究科システム創成学専攻 助教

2013年1- 20213月 東京大学 大学院工学系研究科システム創成学専攻 講師

2017年12 - 20183月 ベルリン工科大学 客員研究員

2021年4 - 現在 東京大学 大学院工学系研究科システム創成学専攻 准教授

 

【研究について】

自動車交通や歩行者交通を中心とする社会システムのシミュレーションについて研究しています。渋滞や交通事故に代表される交通問題を解決しなければならないことは今も昔も変わっていませんが、電気自動車や自動運転車の研究開発、カーボンニュートラルの要請、ライドシェアリングや超小型モビリティの社会実装など、交通システムの境界条件は絶え間なく変化しています。さまざまな政策が立案され技術が提案されていますが、交通システムは典型的な複雑系であるため、期待された効果を本当に得られるかどうか、別のリスクが露見することがないかどうかを事前に予測することはきわめて困難です。

 

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我々の研究グループでは、計算機上で現実の社会実験を代替できるような、精緻であり、かつ広域ネットワークに適用可能なマルチエージェント交通流シミュレータを構築しています。精緻なモデルの利用と広域への適用はどちらも計算コストの増加要因となります。これに対処するため、人工知能、計算機科学やオペレーションズリサーチなどの知見をもとにした先進的な手法開発に取り組んでいます。たとえば、機械学習メカニズムを取り入れた運転者エージェントの設計や、領域分割型の並列交通流シミュレーション、高効率な経路探索アルゴリズムの検討などがこれにあたります。同時に、構築したシミュレータを現実の交通問題の理解や解決に役立てたり、あるべき交通システムの設計に利用したりする研究も実施しています。これまでに大規模イベント開催時の輸送計画の事前評価や自動車交通が都市に与える環境負荷の推定を実施してきました。シミュレーションのソースコードは公開されており、警察の交通管制センターが適切な信号制御パラメータを検討する際に我々のシミュレータを活用した事例もあります。

精緻性と広域への適用可能性を追究する一方で、限られた計算リソースの中で、求められた精度のシミュレーション結果を効率的に出力するようなシミュレーションモデルも並行して開発しています。また、歩行者交通の新たなモデル化や、自動車-路面電車-歩行者の混合交通シミュレーションにもチャレンジしています。

 

【今後の抱負】

直接的に社会をより良いものにするのは社会シミュレーションの結果ではなく人々の意思決定です。今後も社会的な意思決定や合意形成を支援できるシミュレーション研究を継続していきたいと考えています。

 

【URL】

吉村・藤井研究室:http://save.sys.t.u-tokyo.ac.jp/