大学院工学系研究科長・工学部長からのご挨拶
大学院工学系研究科長・工学部長からのメッセージ ―工学は未来を拓く―
2023年4月1日
東京大学大学院工学系研究科長・工学部長
加藤 泰浩
今私たちは、いくつもの非常に困難なグローバルイシューに直面しながら生きています。温暖化などの気候変動、エネルギー問題、差別や貧困、超高齢化、地域紛争、ウイルス感染症などです。このような難問を解決するためには、多種多様な専門知・経験・価値観を基に、あるべき未来のビジョンを描き、それを実現する能力に加えて、なんとしてもそれを解決しようとするパッション-情熱-が求められます。工学系研究科・工学部はこうした能力を習得し、世界を救う情熱を養う場です。工学がカバーする領域は、基礎科学を追究する分野、追究して得られた知の社会実装を主導する分野、新しい融合領域を開拓する分野など極めて広く、研究・開発のスケールも多岐に渡っています。それぞれの分野で探求して得た知を活かし、夢を描き、地球と人類社会にとってより良い未来をつくること、新しい時代を切り拓いていくことが、私たちの大きな目標であり使命といえます。
さらに、私たちは人間の多様性を尊重し、一人ひとりの個性を活かすインクルーシブな社会の実現を目指しています。だれ一人取り残されることなく皆が安心して暮らせるインクルーシブ社会を実現するために、グローバルコモンズをどう守り育てていくのか―工学はこの問題に正面から向き合う必要があります。また、工学系研究科・工学部は大学における男女共同参画に力を入れており、性別や年齢、立場などにとらわれることなく、誰もが先進的な学問・研究を修められる環境を提供するための取り組みを進めています。
今や世界も日本も激しい変化の中で、複雑で困難な問題に直面しており、そこで問われるのは人間の叡智、すなわち知のイノベーション力といえます。皆さんには、どんな工学分野でもいいから知の修練を徹底的に積んで、知のプロフェッショナルとして「最高の仕事」ができる人材に成長していってほしいと思います。性別国籍を問わず、そのための最高の場を工学系研究科・工学部は皆さんに提供します。
皆さんも私たちと工学を学び、皆さんの持つ底知れぬエネルギーを日本そして世界の未来を拓く駆動力に変換してください。さあ、一緒にチャレンジしましょう!