イベント

開催報告 第34回東大テクノサイエンスカフェ~最先端の化学・生命・物理の研究を体験してみよう!~

 

概要


 

4年ぶりに対面での開催となった「第34回テクノサイエンスカフェ」は、高校生対象としたワークショップとなりました。化学・生命・物理の分野から6つの研究室にご協力をいただき、参加した高校生には、申込時に選択した研究室で実験に参加をしてもらいました。

開催当日の合同オリエンテーションでは、各研究室から参加者に向けて、具体的に研究内容や、今回行う実験内容を紹介していただきました。これは各研究室の主分野となる最先端の化学や生命分野、物理の世界に深い興味を持ってもらうこと、それと同時に「工学部」と一言でくくってしまうのはもったいないほど、工学系研究科にはたくさんの器(研究)があるということを参加者全員に知ってもらいたい、参加した高校生たちが進路を選択するときに、具体的なビジョンを描けるきっかけを提供することを目的として企画しました。今回は30名ほどの参加人数でしたが、今後も工学系の魅力を繰り返し伝えていける内容にしていければと思います。

 

イベント開催内容を詳しくお伝えしていますので、下記よりご覧ください。

(イベント報告)https://www.t.u-tokyo.ac.jp/techno-science-cafe2023


 

●第34回 東大テクノサイエンスカフェ「最先端の化学・生命・物理の研究を体験してみよう!」

 

主催  東京大学大学院工学系研究科・メタバース工学部

後援  ボーイング

会期  2023年8月5日(土) 13:00~

会場  東京大学本郷キャンパス工学部11号館HASEKO-KUMA HALLおよび各研究室

対象  高校生36名

参加費 無料

 

 

アンケート


 

・普段は入ることができない研究室や実験を見学することができ、とても有意義な時間でした。

・大学について身近に知ることができとても楽しかったです。
・おもしろかった。フッ素のことで色々学びました。
・高校では扱わないような実験器具を使って、実験出来たので楽しく、面白かったです。

・日頃文字でしか知ることの許されない化学物質に触れることができ、新発見に伴った感動を覚えました。
・聞いた事のない単語が沢山出てきたり、ニューロンの役割や脳の構造を理解できたことがとても楽しかったです。

 

など、たくさんの感想をいただきました。

 

 

実験テーマ・研究内容


 

 A(化学)「光と相互作用する高分子機能素材をつくろう」
   
加藤研究室(担当:福島 和樹 准教授、坂本 健 助教、内田 淳也 助教)

 

高分子は生物の体を構成する素材であり、さらには身のまわりにある様々な製品、スマートフォンなどの電子機器、自動車や飛行機などの輸送機器、マスクや飛沫防止板、人工臓器などの素材として活躍しています。また、液晶は分子が並んでいながら流動性を示す固体と液体の中間状態にある物質で、生命における分子状態とも関係しています。液晶となる素材は、表示デバイスのディスプレイだけでなく化粧品や5G技術にも応用されています。今回の体験実験では、この液晶の性質を示す代表的な分子を観察したり、温度などによって色が変化する液晶高分子を実際に用いて、それらが光と相互作用し、構造色機能を発揮する様子を体験してみましょう。

加藤研究室 URL:http://kato.t.u-tokyo.ac.jp/index.html

 B(化学)「フッ素の力を体験してみよう」
   
フッ素有機化学、分子界面工学研究室合同(担当:川口 大輔 特任教授、伊藤 喜光 准教授)

 

水および油を“はじく”性質、すなわち、撥水性・撥油性は、衣服・スマホ・クルマなど身の回りのあらゆるモノに汚れをつきにくくさせています。多くの材料は撥水性または撥油性のどちらか一方の性質しか有しませんが、フッ素系高分子は両方の性質を有した特異な材料です。本テーマでは、皆さんにこのようなフッ素の特別な力を体験してもらいます。まずフッ素系高分子膜を調製し、滴下した水滴および油滴の形状を評価します。それらの形状から表面自由エネルギーを算出します。身の回りの様々な高分子材料についても同様に表面自由エネルギーを算出し、比較することで、フッ素系高分子表面が撥水性・撥油性を示す要因について考察します。

フッ素有機化学研究室 URL:https://park.itc.u-tokyo.ac.jp/kawaguchi/index.html
分子界面工学研究室 URL:https://park.itc.u-tokyo.ac.jp/InterfaceMolEng/JP/

 C(生命)「体を守る分子の働きをスナップショットで捉えてみよう」
   
岡本研究室(担当:古畑 隆史 助教)

 

私たちの体は、たくさんの分子の緻密な関わり合いによって成り立ち、がんなどの病気から自分を守るための洗練された仕組みを備えています。特に、体を作る重要な分子であるタンパク質は、お互いにくっついたり離れたり、結合を繰り返すことで、体の健康を保つための分子のネットワークをコントロールしています。そこで、本テーマではタンパク質の結合に焦点を当て、それをスナップショットで捉えて調べるための最先端の化学について実験を通して学んでもらいます。そして、タンパク質の働きがどのように私たちの体を形づくり、病気から守っているのか理解を深めてもらいます。

岡本研究室 URL:http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/okamoto/

 D(生命)「神経ネットワークの刺激を体験してみよう」
   
神経細胞生物学研究室(担当:平林祐介准教授 壷井 將史 助教)

 

私たちの脳内では神経細胞が非常に複雑かつ緻密な回路を形成しています。驚くべきことに、マウス脳から取り出してディッシュ上で培養した神経細胞もお互いに接続し脳内のような神経回路を形成します。この回路を情報が伝わる時には、細胞内のカルシウムイオン濃度がミリ秒単位でダイナミックに変化します。本テーマでは、神経細胞を電気刺激した時のカルシウムイオン濃度の変化を高速撮影可能な最新鋭の顕微鏡を用いて捉えます。

神経細胞生物学研究室 URL: http://webpark2042.sakura.ne.jp/WordPress/jp/

 E(物理)「光の速さを体験してみよう」
   
先端加工学研究室(担当:伊藤 佑介 講師)

 

強い光を材料に照射すると、ピコ秒(1ピコ秒は1兆分の1秒)~ナノ秒(1ナノ秒は10億分の1秒)という非常に速い時間スケールで、様々な物理現象が生じます。たとえば、強い光がガラスのような透明な材料の中を進むとき、光の進行に伴ってピコ秒未満の時間で自由電子が発生し、その瞬間だけ金属のように振る舞います。また、その後ナノ秒の時間スケールでは、衝撃波が発生し材料内部を高速で伝搬します。今回の研究体験では、光が材料の内部を進んでいく様子を一緒に撮影して、光の速さを体験するとともに、光の伝搬に伴って生じる様々な物理現象を観察し、考察します。


先端加工学研究室 URL:https://www.mfg.t.u-tokyo.ac.jp/

 F(物理)「マザーマシンによる超精密加工を体験しよう」
   
中尾・長藤・趙・木崎研究室(担当:木崎 通 講師)

 

すべての工業製品は工作機械に由来しています。製造される製品の精度は工作機械の精度に大きく依存します。そのため、極めて高い精度が必要とされます。通常、精度はマイクロメートルのオーダーで求められますが、力による変形、振動、熱変形など、誤差を増加させる要素はたくさん存在します。今回、最新の研究と関連付けながら、これらの要素がどのように加工誤差を拡大するかについて、理論と実験の両方からアプローチし、詳しく明らかにします。さらに、参加者には工作機械を用いて金属部品を実際に作成してもらいます。一見頑丈に見える工作機械でも、マイクロメートルレベルで見ると、その“柔らかさ”が“豆腐”のように感じられることを体感してもらえればと思います。

中尾・長藤・趙・木崎研究室: https://www.hnl.t.u-tokyo.ac.jp/

 

 

ワークショップ一例


 

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※今回のイベント開催内容の紹介ページを公開する予定です。お楽しみに!

 

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