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化学システム工学専攻 ディマス アグン クルニアワンさん(D2)が世界組織工学および再生医学会・アジア太平洋支部 学生論文コンテスト にて銀賞を受賞されました 

 

2023年12月2日、化学システム工学専攻 ディマス アグン クルニアワンさん(D2)が世界組織工学および再生医学会・アジア太平洋支部 学生論文コンテスト にて銀賞を受賞されました。

 

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世界組織工学および再生医学会・アジア太平洋支部 学生論文コンテスト 銀賞

本賞は、アジア・太平洋地域における組織工学・再生医療の研究活動を奨励するために設けられたものです。研究テーマ、発表内容、ディスカッション能力などを総合的に評価されました。

 

受賞された研究内容・活動について

経口薬物の吸収と代謝の場として、腸-肝臓軸は医薬品開発における重要な研究の焦点です。両臓器は腸肝循環を介して相互に連結しており、薬物代謝に影響を及ぼす可能性のある循環因子を介したクロストークが存在し薬物代謝に影響を及ぼすことはいくつかの研究で観察されていますが、そのメカニズムは不明です。しかし、動物モデルを用いてメカニズム解明を行うことは原理的に不可能です。多臓器マイクロフィジオロジカル細胞培養システム(MPS)は、特定のヒト臓器の組み合わせに焦点を絞って相互作用を純粋に観測することのできる有望なin vitroアプローチです。本研究では、MPSを用いて肝細胞と腸上皮細胞を共培養しました。培養系への酸素供給と灌流を増やすことで、各細胞の高い機能を維持することに成功しました。トランスクリプトーム解析の結果、胆汁酸とアラキドン酸が肝薬物代謝の促進に重要な役割を果たしている可能性が示されました。以上本研究は、特徴あるMPSを使って細胞機能を高く維持することで、新規の多臓器クロストークを観測・解明することを可能としました。

 

今後の抱負・感想

近い将来、この細胞培養系をさらに発展させ、初回通過代謝のモデルとして腸-肝臓相互作用を含めることができるようにする予定です。将来的には、動物実験に代わる優れた実験モデルとなり、医薬品開発プロセスの進歩に貢献できることを願っています。今回の受賞は、この研究を継続するモチベーションをさらに高めるものであり、感謝しています。