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化学システム工学専攻 曹 雯昕さん(D2)が日本動物実験代替法学会第36回大会において学生優秀演題賞を受賞されました

 

2023年11月29日、化学システム工学専攻 酒井・西川研究室 曹 雯昕さん(D2)が日本動物実験代替法学会第36回大会において学生優秀演題賞を受賞されました。

 

fig01左側が曹 雯昕さん

 

受賞された研究・活動について
タイトル: 人工粘液を用いたin vitroモデルによる様々な腸内細菌叢とヒト腸管上皮様細胞(Caco-2)との間の長期的な宿主-微生物相互作用の再現


腸内細菌叢は、今まで過小評価をされてきましたが、近年、ヒトの健康と疾病を制御する要因として重要視されています。腸上皮を覆う粘膜バリアは、微生物叢にコロニー形成環境を提供するだけでなく、内腔に存在する細菌やその他の抗原性物質に対する防衛線としても機能しています。さらに、粘膜バリアの異常は一般に炎症性腸疾患と関連することが多くの研究で報告されています。したがって、in vitroモデルで宿主と微生物の相互作用を研究するためには、代表的な粘液バリアが必要です。この研究では、人工的に再構成された粘液層を含む安定したin vitro共培養モデルを実現しました。人工粘液層は良好な生体適合性を示し、様々な厚さでも細胞活性や単層透過性に大きな影響を与えませんでした。このモデルの中で、ヒト腸管由来細胞株のCaco-2単層とL. plantarumの相互作用の一部を再現することができました。今後、この人工粘液層が関与するin vitroモデルを病原性モデルとして用いメカニズムを明らかとし、治療薬の開発に役立てることを目指します。

今後の抱負・感想
発表時にいただいた有益なコメントやご指摘は、私の今後の研究にとって大きな刺激となり、本当に感謝しています。酒井・西川研究室のすべてのサポートに感謝します。また、技術的な支援を頂いた明治ホールディングス株式会社の方々に深く感謝いたします。博士課程では、前述のin vitroモデルを最適化し、発症機序の解明や腸疾患の潜在的治療薬の開発などに応用していきたいと考えています。将来、私の研究が生物医学研究の発展と人類の福祉向上に貢献できることを願っています。