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若手研究者紹介:パラディ ジアンカルロス 講師

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都市工学専攻 都市交通研究室 パラディ ジアンカルロス 講師

 

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【経歴】

2014年9月 東京大学 大学院工学系研究科 都市工学専攻博士課程 修了

2014年10月 東京大学 復興デザイン研究体・ネットワーク行動学研究グループ 特任研究員

2015年4月 東京大学 大学院工学系研究科 都市工学専攻 助教

2019年2月 スイス連邦工科大学チュリッヒ校 Institute for Transport Planning and Systems 客員講師

2020年4月 東京大学 大学院工学系研究科 都市工学専攻 講師

 

【研究について】

多くの活動・交通行動に関連する意思決定は、個人が孤立して行うことではなく、その人が属する社会的ネットワーク(グループ)のメンバーと調整した結果で行動しています。日本では外出全体の、平日は4割弱、休日は6割弱がグループでの活動での外出となっています。しかし最先端の交通行動モデルにも、このような社会的相互作用の影響はほとんど考慮されていません。その理由の一つとして、実証データの不足があります。このことから、私たちの研究では、1)グループ活動とその意思決定過程に関するデータを収集するための新たな手法の開発と、2)意思決定過程をより正確に記述していく行動モデルを構築することに着目しました。

 

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図:グループの会食場所を選ぶことを目的とした x-GDP調査によって収集されたデータの抜粋。(Source: Parady et al., 2023, Transportation)

 

1)については、テキストを活用した集団意思決定過程の観測手法(x-GDP)を提案しました(Parady et al., 2023*1)。この手法により、結果(例えば、活動の目的地選択)だけでなく、選択肢そのもの、選択過程に影響を与える個人やグループの特性や選択されるまでに至る議論を含めて、意思決定過程そのものをテキストで観測できるようになります。これは、実験を通じてグループにおける共同活動の意思決定をリアルタイムで観測することができる、初めての試みです。


2)については、これまでの研究で行動モデル(目的地選択モデル)にグループに関する情報を組み込むことで、個人のみのモデルに対して予測力を約30%向上させることができることがわかっています(Han et al., 2023*2)。これからはグループやメンバー間の嗜好変化等も組み込んだ、意思決定過程そのものをモデル化したいと考えています。

 

参考文献:

*1= Parady, G., Oyama, Y. & Chikaraishi, M.(2023) Text-aided Group Decision-making Process Observation Method (x-GDP): a novel methodology for observing the joint decision-making process of travel choices. Transportation (Open access)

*2=Han, C., Luo, L., Parady, G., Takami, K., Chikaraishi, M., Harata N. (2023) Modeling joint eating-out destination choices incorporating group-level impedance: A case study of the Greater Tokyo Area. Journal of Transport Geography 111, 103672

 

【今後の抱負】

レジャー等の裁量的活動の主な目的は他者との交流ですが、従来の交通行動モデルでは、交流がもたらすプラスの効果を十分に捉えることはできていません。中長期的には、移動の不効用の削減だけでなく、活動そのものから生み出すプラスの効果(社会資本等)を正しく定量化できる活動・交通行動モデルシステムを開発したいと考えています。

 

【URL】

都市交通研究室:http://www.ut.t.u-tokyo.ac.jp/

Giancarlos Troncoso parady:https://gparady.net/