プレスリリース

東京大学と民間企業6社が社会連携講座「次世代粉体プロセス システムのためのデジタルツイン基盤技術講座」を共同開設

 

国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(以下、東京大学)、株式会社構造計画研究所、シオノギファーマ株式会社、昭和産業株式会社、信越化学工業株式会社、株式会社日清製粉グループ本社、および株式会社村田製作所(五十音順)は、202381日に社会連携講座「次世代粉体プロセスシステムのためのデジタルツイン基盤技術講座」を共同で開設しました。本講座では、粉体産業のスマート工場の実現に向けて、第4次産業革命の中核技術であるデジタルツインの要素技術の開発に関する共同研究を推進し、粉体プロセスのデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させます。また、デジタルツインの要素技術に係る学問分野の開拓や人材育成を進め、粉体計算力学分野のエンジニアリング力の拡張と深化を図ってまいります。

 

粉体は、原料、中間製品および最終製品のいずれかにおいて極めて多くの工業製品で取り扱われます。粉体が係る工業製品は枚挙にいとまがなく、食品、医薬品、化粧品、電子部品、携帯電話などに使われる2次電池のような身近なものから、航空機部品、鉄鋼製品、3Dプリンタ材料、原子燃料のようなハイテク製品まであり、工学において広く扱われています。すなわち、工業製品の多くは粉体プロセスを経て製造されています。粉体プロセスは、粉砕、分級、乾燥、集塵、混合、造粒、輸送、等の単位操作の組合せであり、産業にはバッチ生産プロセスおよび連続生産プロセスがあります。これらの粉体プロセスにおいて、エンジニアの経験に基づいて粉体の制御がなされています。これは、粉体には、流体や固体のような連続体のように確立された学問体系が存在しないためです。今後も、我が国のものづくりが国際的優位性を保つには、粉体プロセスにおける設計・生産やその技術伝承にDXを取り入れ、デジタルツインを活用したものづくりを推し進める必要があります。従って、粉体プロセスのDXは我が国のものづくりにおいて喫緊の課題と言えます。このような背景から、東京大学において社会連携講座を開設し、CAEソフトウェア、医薬品製造、食品加工、材料製造、電子部品製造に係るメーカーと協力してデジタルツインの基幹技術を開発します。これまでに培ってきたモデリングおよびデータサイエンスに関する技術を、粉体プロセスに応用したり、さらに高度な技術に発展させたりする他、CAEソフトウェアメーカーによる社会実装も見据えます。このような社会連携講座の活動を通して我が国で開発したデジタルツインの技術が、今まさに起こっている第4次産業革命においても世界を牽引できると確信しています。

本講座の活動を通じて、粉体・混相流の数値シミュレーションの新しい計算モデルの提案、シミュレーションとデータサイエンスとの融合およびデジタルツインの検証・妥当性確認に取り組みます。そして、粉体の学問体系の構築、粉体を対象とした新たな計算力学およびデータサイエンスに係る学術の確立と発展、粉体プロセスのデジタルツインを運用するための高度人材の継続的な育成と輩出を支える拠点の形成に努めてまいります。

 

社会連携講座の概要

講座名:次世代粉体プロセスシステムのためのデジタルツイン基盤技術講座

Digital Twin Fundamental Technology Course for Next Generation Powder Process Systems

設置期間:202381日~2026731日(3年)

代表教員:酒井 幹夫(東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻 教授)

 

 

 

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