プレスリリース

東京大学と民間企業9社がスマートビルシステム実現に向けた社会連携講座を共同開設

 

国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(以下、東京大学)、株式会社関電工、株式会社九電工、新菱冷熱工業株式会社、株式会社大気社、ダイダン株式会社、高砂熱学工業株式会社、東京電力ホールディングス株式会社、東洋熱工業株式会社、および三菱重工サーマルシステムズ株式会社は、2023111日に「スマートビルシステム社会連携講座」(Smart Building System Research Initiative)を共同で開設いたします。本講座では、カーボンニュートラルを含むグリーントランスフォーメーション(GX)の実現に建築設備の分野から貢献するため、スマートビルシステムに関する共同研究を推進し、GX実現を加速させます。また、スマートビルシステムのための学問分野の開拓や人材育成を進め、建築設備分野のエンジニアリング力の拡張と深化を図ってまいります。

 

建築物の運用段階の年間エネルギー消費量は社会全体の34割を占め、業務用建築物におけるエネルギー消費量の大半は空調等のビルシステムに起因しています。一方でビルシステムは、その運用改善による省エネルギー、再生可能エネルギー活用によるエネルギー自給率向上、デマンドレスポンスによる電力グリッドの安定化などに寄与できます。ビルシステムはGXという喫緊の社会課題の解決に対して非常に重要な役割を担っています。そしてGXを効果的に実現するには、ビルシステムのスマート化が不可欠です。室内環境や機器運転状態の高解像度なセンシングによって時々刻々の実態を把握しながら、その実態と極めて詳細なエミュレーション(デジタルツインのサイバーシステム)を共進させ、人中心の快適環境、CO2排出・コスト削減、行動変容などの、新たなサービス提供や価値創出につなげていくことが必要です。従来のビルシステムは一品生産であることや詳細なエミュレーションが不足していたことから、新たな価値創出に向けた検討が十分に実施できない課題がありました。しかし、本講座で得られるエミュレーションを用いることで、様々なサービス・アルゴリズム開発やAI用学習データ作成が可能となり、ビルのスマート化を加速させることができます。このことは新たなビジネスを生み出す原動力になり、社会変革につながっていきます。

 

本講座の活動を通じて、多様なニーズに応えるスマートビルシステムの価値向上と新たな市場開拓に取り組みます。そして、スマートビルシステムの新たな学術の確立と発展、スマートビルシステムを構築し、運用するための高度人材の継続的な育成と輩出を支える拠点の形成に努めてまいります。

 

 

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社会連携講座の概要

講座名:スマートビルシステム社会連携講座(Smart Building System Research Initiative)

設置期間:2023111日~2028331日(45ヶ月)

代表教員:赤司 泰義(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 教授)

 

各社からのコメント

株式会社関電工

株式会社関電工は創立以来、“お客様及び地域社会との共存を目指すことが当社存立の意義である”との考えから、建築設備をはじめ、電気工事、情報通信工事などの企画から設計、施工、メンテナンスまで一貫したエンジニアリング事業を展開しております。本講座への参画により、室内環境・機器運転の高度なセンサ技術等を利用したスマートビルシステムを進展させ、GX社会の実現に貢献してまいります。

 

株式会社九電工

当社は、日常生活を幅広く支える総合設備業として、事業活動を通じ、さまざまな社会課題の解決に取り組み、社会へ貢献していくサステナビリティ経営を推進しています。本講座に参画することで、より一層の技術開発の発展に努め、カーボンニュートラルの実現に向け、社会環境の変化に適合しながら、スマートビルシステムの社会実装を目指し努力してまいります。

 

新菱冷熱工業株式会社

カーボンニュートラル社会実現のためには、建築設備にデジタル技術を実装・駆使してGXを推進することが重要と考えており、本講座の目指すスマートビルシステムは、新しい価値の創造と脱炭素を両立する技術として社会課題の解決策になると期待されます。新菱冷熱工業は、本講座の産学連携を通じて、カーボンニュートラル社会実現への研究開発をより一層推進してまいります。

 

株式会社大気社

運用段階で多くのエネルギーを消費する空調等のビルシステムのスマート化に取り組むことは、GXという喫緊の社会課題の解決に対し、極めて重要なアプローチであると考えています。大気社は、本講座を通じて、スマートビルシステムに関する基盤技術の開発と、さらには従来にないサービス提供や価値創出も含めた社会実装に向けて貢献してまいります。

 

ダイダン株式会社

多種多様なセンシングとそれらを活用する高度な制御技術が備わったスマートビルには、各種建築設備が有機的に連動するインテグレーション技術が求められます。ダイダンは、電気・空調・衛生工事を行う総合設備エンジニアリング企業として本講座に参画し、ビルシステムのスマート化を推進することで建築設備業界のGXに貢献してまいります。

 

高砂熱学工業株式会社

現在、業務用建物において、カーボンニュートラル化、ヒューマンセントリックな環境実現などが求められています。高砂熱学工業は、これらの課題の解決にツナガル環境制御および創エネルギーやデマンドレスポンスを含むエネルギー制御技術を確立し、建築設備のライフサイクルでのトータルカーボンソリューションを目指しています。「環境クリエイター®」として本講座を通じ、建物価値向上のみならず、地球環境のカーボンニュートラルに繋がるGXの社会実装に向けて貢献してまいります。

 

東京電力ホールディングス株式会社

世界的に再生可能エネルギーの導入が拡大する中で、電力安定供給のためには建物側における電力制御の柔軟性が重要であり、特に空調設備に期待される役割は非常に大きくなっております。これまで東京電力グループは数々のエネルギーサービス事業を実施してきており、その知見を活かし、スマートビルシステムの社会実装及びGXの実現に貢献してまいります。

 

東洋熱工業株式会社

東洋熱工業は1937年創業の空調衛生設備の設計・施工・アフターメンテナンスを行う老舗総合エンジニアリング企業です。持続可能な地球環境を実現するためには、この業界の技術革新が必須です。これまでのように、それぞれが独自のシステムを構築するのではなく、力を合わせてスマートビルシステムの共通基盤を構築する本講座の意義に共感致しました。デジタルツインの実現に向けて貢献してまいります。

 

三菱重工サーマルシステムズ株式会社

私たちは、三菱重工グループの一員として、省エネ性・脱炭素化を追求するとともに、“冷熱”について人々の生活をより豊かにすることを目指し挑戦しております。本講座では、新たな市場への方向性と基盤技術を関係業界で広く共有し、建築物の年間エネルギー消費の大半を占める、空調等のビルシステムのスマート化によるGXに適した製品の実現に向けて貢献してまいります。

 

 

 

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