プレスリリース

生体において高い生理活性を示す細胞増殖因子代替化合物を開発~化学合成品により再生医療の大幅なコストダウンへ~:バイオエンジニアリング専攻 内田 智士特任助教、オラシオ カブラル准教授 化学生命工学専攻 秋山 桃子(D1)、植木 亮介助教、山東 信介教授ら

 

細胞増殖因子は、組織の再生や保護、ES/iPS細胞などの幹細胞の分化を促すタンパク質であり、再生医療分野への応用が広く期待されています。しかし、細胞増殖因子は熱的に不安定な物質であり厳密な品質管理が必要とされること、また、製造に生物を用いた高コストな生産過程を要することが応用面における大きな課題となっています。東京大学大学院工学系研究科の植木 亮介助教、内田 智士特任助教、オラシオ カブラル准教授、山東 信介教授ら、川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンターの藤 加珠子研究員らの共同研究グループは、生体物質であるデオキシリボ核酸(DNA、注1)のみから構成される肝細胞増殖因子の代替化合物を開発し、モデルマウスにおいて肝炎の抑制効果を示すことを報告しました。DNAは化学合成により安価に大量生産可能であり、非常に熱安定性の高いマテリアルであるため、細胞増殖因子代替化合物として望ましい性質を持ちます。このような特性から、将来的には再生医療の大幅なコストダウンや安全性の向上につながる可能性が期待できます(図1)。本研究成果は日本時間2020年4月2日付で米国科学振興協会(AAAS)が出版する科学誌 「Science Advances」 オンライン版に掲載されました。



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Science Advances:https://advances.sciencemag.org/content/6/14/eaay2801.full

科学技術振興機構:https://www.jst.go.jp/pr/announce/20200402/index.html

日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP532218_R00C20A4000000/