プレスリリース

二本足で歩く分子モータータンパク質キネシンの足の動きを精細に可視化 :物理工学専攻 富重道雄 准教授ら

 

キネシンは二つの足を交互に動かして、まるで歩くようにして運動する分子モーターと呼ばれるタンパク質で、一分子計測法によってキネシンがステップ状に運動することが示されてきました。しかし、従来の手法では時間分解能が低いため、ステップの途中の動きを直接観察することが困難でした。
 今回、全反射照明型暗視野顕微鏡法という新しい手法を用いることによって、これまでにない高い時間分解能でキネシンの片足の動きを詳細に観察することに成功しました。
 その結果、キネシンの片足はレール(細胞骨格の一種である微小管)から離れた後、右側で激しくゆらぎ、その後もう片方の足にATPが結合すると前に着地する、という様子が明らかになりました。また、両足をつなぐリンカーを伸ばすと、片足を浮かせた状態を保てなくなり、頻繁に浮いた足が後ろに戻るようになることが分かりました。
 本研究の成果は、分子機械が働くために必要なデザインや仕組みの一端を明らかにするものであり、人工的な分子機械の設計に役立てられ、今後の医療や工学に応用できることが期待されます。

 


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Abstract URL:https://www.nature.com/articles/nchembio.2028