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化学システム工学専攻 曹 雯昕さん(D2)が日本人工臓器学会大会萌芽研究ポスターセッションにおいて優秀賞を受賞されました

 

2023年11月10日、化学システム工学専攻 酒井・西川研究室 曹 雯昕さん(D2)が第61日本人工臓器学会大会 萌芽研究ポスターセッションにおいて優秀賞を受賞されました。

 

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左側が曹 雯昕さん

 

日本人工臓器学会大会 萌芽研究ポスターセッション 優秀賞

30歳以下の若手の研究者・医師、臨床工学技士や看護師等のメディカルスタッフ、学生の会員を筆頭とする演題で、一般演題とするには完成度が不十分であるものの、近い将来に臨床上または学術上の高い寄与が期待できる萌芽的な研究を関するものを対象とします。

 

受賞された研究・活動について

タイトル:Development of an in vitro Model for Host-Microbe Interaction in Small Intestine(小腸における宿主-微生物相互作用のin vitroモデルの開発)

過去数十年にわたり、腸内細菌叢はヒトの健康と疾病を制御する因子でありながらも、過小評価されがちでした。近年、腸内細菌叢が腸管バリア機能だけでなく、他の臓器の機能にも影響を及ぼすことが、数多くの科学的研究によって報告されています。しかし、これまでに発表されているin vitroモデルでは、多様な腸内細菌種と宿主細胞の生理学的接触の実現、培養期間、複雑なデバイスや設備の必要性などの問題が残されていました。

そこで本研究では、簡便な装置内で粘膜バリアと嫌気性環境を再現することにより、小腸における宿主と微生物の相互作用を代表する長期的かつスケーラブルなin vitro共培養モデルを確立することを目的とします。

開発したin vitroモデルは、再現性・拡張性に優れ、多様な種類の細胞や細菌を長期的に共培養し、広範なデータを収集することが可能であり、消化管に関連する研究において動物モデルの有力な代替となることが期待されます。また、胃腸疾患の根本的な発症メカニズムの再現を通じた潜在的な治療薬の同定や薬物送達特性の分析など、さまざまな研究分野にも応用できます。さらに、この斬新な装置デザインは、大量生産にも適しており、将来的には標準化された実験室用品として商品化される予定です。

 

今後の抱負・感想

このような学会で自分の研究を発表し、他の研究者の方々からコメントやご指摘をいただく機会を得られたことを光栄に思います。また、共同研究者である明治ホールディングズ株式会社の皆様、酒井・西川研究室の皆様には大変お世話になりました。博士課程では、計画した目標を達成できるよう最善を尽くし、私の研究が将来、生物医学研究の進歩や人類の福祉の向上に貢献することを願っています。

 

 

 

第61回日本人工臓器学会大会 萌芽研究ポスターセッション 受賞者:

https://www.ace-enterprise.jp/jsao2023/contents20.html