プレスリリース

ヒューリックと東京大学 社会連携講座 「真にインクルーシブな自然体験学習システムの創成」を開設 ~実空間とメタバースを融合した新たな「学習の場」の創成を目指す~

 

ヒューリック株式会社(代表取締役社長:前田隆也、以下、ヒューリック)と国立大学法人東京大学 大学院工学系研究科(研究科長:加藤泰浩、以下、東京大学)は、五感を用いて自然を深く学ぶ体験を、環境や境遇に関わらず全ての子ども達が得ることのできる新たな「学習の場」を創成するため、社会連携講座「真にインクルーシブな自然体験学習システムの創成」を2023年4月1日に開設しました。
ヒューリックは、環境配慮経営を推進し、地球環境保護という課題に積極的に取り組むとともに、社会貢献活動を通じて社会全体の継続的な発展に寄与してきました。子ども達の地球環境に対する興味と理解を育み、インクルーシブな学習環境の創成を目的とする本講座の趣旨に深く賛同し、今般、本講座の開設にいたりました。ヒューリックは、子ども向け環境教育分野における新たな価値創造を支援していきます。

 

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社会連携講座設立の背景・目的
東京大学は2015年から、子ども達の地球環境に対する興味と理解の涵養を目的として、小中学生を対象に、五感を用いて自然を学ぶサマーキャンプを実施してきました。この取り組みにより、子ども達が地球環境へ興味をもつ第一歩として、自然の中での体験学習が高い効果をもつことを確認してきました。しかし、従来の体験型学習は開催地での現地参加を前提としているため、難病などにより外出が困難といった身体的事情や、開催地との距離、経済的事情などの様々な理由により、体験型学習への参加が難しい子ども達も多くいます。
今般開設した社会連携講座は、情報通信技術(以下、ICT)を駆使して「現地参加が必須」という前提を取り去ることで、こうした子ども達も参加可能となる、真にインクルーシブな自然体験学習システムを創成します(上図)。ICTを用いることで、体験型学習への遠隔参加者のいるメタバース空間と、現地参加者のいる実空間を融合し、遠隔でも主体感のある双方向コミュニケーションを実現します。さらに、ボディシェアリング技術を活用することで、実際に手にしていなくとも物体の重さや抵抗感を感じることができ、実感を伴う遠隔体験学習を可能とします。このようにして、子ども達の置かれている環境や境遇に関わらず、自然からの学びを同等に体験してもらうことを目指します。

社会連携講座の概要
【設置期間】
2023年4月1日 から 2026年3月31日(3年間)

【担当教員】
  • 加藤 泰浩 (国立大学法人東京大学大学院工学系研究科 工学系研究科長・工学部長/教授)
  • 大田 隼一郎(同研究科附属エネルギー・資源フロンティアセンター 講師)
  • 桑原 佑典 (同研究科システム創成学専攻 特任助教)
  • 玉城 絵美 (同研究科システム創成学専攻特定客員大講座 教授)

【協力】
(社会連携講座には参画せず、自然体験学習イベントの開催等に協力する組織)
  • 国立大学法人東京大学医学部附属病院小児科
(入院中の子ども達の自然体験学習イベントへの参加支援)
  • 公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパン
(入院中の子ども達の自然体験学習イベントへの参加支援)
  • 学校法人千葉工業大学
(自然体験学習イベントに対するニーズ調査等の支援)

【研究内容】
  • 体験型学習にICT機器と高速ネットワークを組み合わせた、遠隔でも臨場感あふれる体験を得られる教育用通信システムの構築
  • 重量感覚や抵抗感覚などの人体の固有感覚を遠隔共有する「ボディシェアリング」を活用した、遠隔でも実感を伴う体験学習を可能とする技術の開発
  • 実空間とメタバース空間をICTにより融合した、対面参加と遠隔参加の子ども達が交流しながら自然を学ぶことのできる「インクルーシブ自然体験学習」イベントの実施、学習効果と社会的インパクトの評価、一連の開発を通じた人材育成
  • 長期入院中の子ども達が遠隔で体験学習に参加することのできる環境の構築と、「インクルーシブ自然体験学習」イベントにおける実証

【期待される成果】
  • 初等・中等教育において重要視されている体験型学習に対し、遠隔参加でも実地と同等の教育効果が得られる革新的な教育技術の確立
  • 様々な要因によって、子ども達の体験型学習の機会に差が生じるという問題に対する画期的な解決策の提示
  • 実空間、メタバース、およびICTを組み合わせた新たな社会システム像の構築とその社会実装
  • ICTおよび人の多様性の双方を理解して実社会の複雑な問題を解決でき、真にインクルーシブな未来社会を担う若手人材の育成と輩出

 

 

 

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