プレスリリース

NEC、東京大学、NECプラットフォームズ、ローカル5Gを活用した 移動・自律運用可能な通信ソリューションの実証機を開発 ~一時・臨時利用が求められる災害・メンテナンス現場のDX化を推進~

 

日本電気株式会社(以下 NEC、注1)、国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(中尾研究室・教授 中尾彰宏、以下 東京大学、注2)およびNECプラットフォームズ株式会社(以下 NECプラットフォームズ、注3)は、ローカル5Gの基地局・5Gコア・マルチアクセスエッジコンピューティング(以下 MEC、注4)を一体化した移動・自律運用可能な通信ソリューションの実証機を共同で開発しました。

今回の通信ソリューションの共同開発は、ローカル5Gを活用して様々な現場のDX化を推進するための取り組みの一環です。電源・バックホール回線の用意が難しい災害現場や山間部向けに、ローカル5Gネットワークを迅速かつ一時的に構築するソリューションとして、今後商用化を目指します。

 

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共同開発した実証機の外観

左:屋内用(幅)130×(高さ)189×(奥行)357mm、中央・右:屋外用

 

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通信ソリューションのシステム構成イメージ

 

【各者の役割】

NEC:ソリューション開発

東京大学:基地局・5Gコア・MECを一体化するシステム開発

NECプラットフォームズ:無線フロントエンド・筐体ハードウェア開発・システム検証

【背景】

近年、地震・豪雨などの自然災害が頻発化、激甚化しており、災害時における安全かつ迅速な応急復旧が求められています。こうした中、ドローンを活用した高精細映像のリアルタイム伝送による被害状況把握、ハザードマップの可視化、無人化施工など災害現場のDX化が期待されています。

また、メンテナンス現場では、インフラ設備の老朽化と、現役世代の減少などによる人手不足が課題となっており、日常巡視点検に対してAI・IoT・ドローン・ロボットなどを活用することでメンテナンス業務の高度化と生産性の向上が期待されています。

しかし、これらの災害・メンテナンス現場では、地形変化作業進捗の状況により現場が変動的であるため、電源とバックホール回線など通信手段の確保が困難です。

 

【共同開発の概要】

今回、NEC、東京大学およびNECプラットフォームズは、基地局・5Gコア・MECを小型汎用サーバーに一体化した通信ソリューションの実証機を開発しました。本実証機は、ハンドキャリーが可能な防水防塵ケース(注5)内に、ローカル5Gの通信機能とアプリケーション機能を集約し、ネットワークとアプリケーションをオンデマンドに利用できます。さらに、約90Wの低消費電力であるため、電源が確保されていない屋外エリアでも可搬バッテリーを用いて長時間利用することが可能です。本ソリューションにより、災害・復旧時の人命の安全確保と、二次災害の発生を抑止し、メンテナンス現場の業務効率化と省人化への貢献を目指します。

 

【本ソリューションの実証機の特長】

1.持ち運びでき屋内外の様々な現場で活用が可能

・基地局・5Gコア・MECを小型汎用サーバーに一体化して防水防塵のケースに収納したことで、ハンドキャリーが可能で一時・臨時利用に対応

・常設の機材と比較して導入・運用コストの低減が期待

・光・LTEなどバックホール回線が無くてもローカル5Gネットワークを構築可能

・小型汎用サーバー単独で屋内での利用も可能

 

2.高出力・低消費電力で様々なユースケースに対応が可能

・約90Wの低消費電力により、可搬バッテリーでも長時間利用が可能

・小型にもかかわらず1Wの高出力の無線アンテナを4ポート搭載し、災害・メンテナンス現場などの屋外の広域エリアでも対応可能

・同期方式に加え、上りの通信速度を向上できる準同期(TDD1/2/3)(注6、7)に対応することにより、大容量の映像伝送が可能

・ソフトウェアをベースに基地局を実装することで、容易なセットアップ・設定変更、柔軟な機能拡張が可能

・MECを内蔵することにより、エッジで処理するアプリケーション・AIの機能を配備することができ、リアルタイムな処理、インターネット回線などへの通信データ量の削減、セキュアな通信を実現可能

 

fig3

【今後の展開】

今後、NEC、東京大学およびNECプラットフォームズは筐体の小型化と、実証実験を通じてAIなど用いたアプリケーションの開発を進め、アンテナや可搬バッテリーを含めてローカル5Gネットワークを様々な現場で構築できる通信ソリューションとして、商用化を目指します。

 

 

(1)本社:東京都港区、代表取締役 執行役員社長 兼 CEO:森田 隆之

(2)所在地:東京都文京区、研究科長:染谷 隆夫

(3)本社:東京都千代田区、代表取締役 執行役員社長:田熊 範孝

(4)通信端末に近い場所にサーバーを配置することで通信の遅延時間を短縮させる技術

(注5)防水防塵ケースの大きさ:()515× (高さ)415× (奥行)200mm

(注6)準同期:ダウンリンク通信に使用している時間帯の一部をアップリンク通信に使用することでアップリンクのスループットを向上させる方式

(注7)TDDTime Division Duplex (時分割複信)

 

 

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