プレスリリース

負担の軽い骨の移植が可能に ~優れた骨形成を示す合成人工骨を初めて開発~ : バイオエンジニアリング専攻 鄭雄一教授

 

東京大学 大学院工学系研究科 バイオエンジニアリング専攻 鄭雄一教授(大学院医学系研究科兼担)、同 大学院農学生命科学研究科附属動物医療センター 望月学教授と株式会社ネクスト21(鈴木茂樹社長)らは、骨になる能力が高く、移植手術の容易な人工骨の開発に成功しました。開発した人工骨を、スウェーデン イエテボリ大学バイオマテリアル部門で生体のウシ由来の骨との比較試験により評価した結果、低結晶性リン酸オクタカルシウム(OCP)射出成型人工骨がきわめて高い骨形成能・癒合能・置換能を示すことを確認しました。
 この人工骨は新規な射出成型法で成形されているため、任意の形を自由に成形できます。成形後に再結晶化(OCP化処理)することにより、世界で初めてOCPを作用成分とした骨形成に優れた人工骨を作りました。また、開発した人工骨は献体から摘出し、脱蛋白した骨(他家骨)やウシ等の動物の骨を加工して作成した骨(異種骨)の形状や成分と比較して大きな差はなく、これらの生体由来の骨と同等以上の骨形成能を示しました。
  日本では他者の骨を移植するための骨バンクが存在しないため、自分の身体の健全な足や腰などの部位から採取した骨(自家骨)を移植することが一般的です。しかし、OCP射出成型人工骨により、自家骨の移植や海外の骨バンクからの提供を待つことのない、新しい骨移植の可能性が期待されます。さらに、自家骨を移植する場合に患者に生じる外科的な負担を低減できる可能性も高まります。

 

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