東京大学大学院工学系研究科応用化学専攻の竹澤浩気助教、藤田誠教授(東京大学卓越教授/分子科学研究所卓越教授兼任)らは、自己組織化の原理を利用して合成された中空のかご型分子にアミド分子を閉じ込めることで、アミド結合をねじって(歪ませて)反応を促進させることに成功しました。分子の反応性を高める方法として歪みを利用する方法が注目を集めていますが、これまでは煩雑な化学修飾によって分子に歪みを生み出すことが一般的でした。本手法では、化学修飾をせず、かご型分子に閉じ込めるだけで歪みを生み出すという、これまでにない簡便な方法でアミド結合を活性化する(切れやすくする)ことができました。
アミド結合は、生体内では、アミノ酸同士を連結させてタンパク質をつくりだす重要な結合で、似たようなアミド活性化の仕組みは、生体内において、一部のタンパク質の自己分解などで用いられています。本研究結果は、これらの生体内反応の機構に迫る成果であるといえます。また、本手法を一般化することで、新しい仕組みの人工酵素やプロドラッグ活性化手法としての応用が期待されます。
本研究成果は4月20日(英国夏時間)に英国科学誌「Nature Chemistry」のオンライン版で公開されました。
プレスリリース本文:PDFファイル
Nature Chemistry:https://www.nature.com/articles/s41557-020-0455-y
日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP533156_Q0A420C2000000/