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山田 淳夫 教授が「The Electrochemical Society, Battery Division Research Award」を受賞されました

 

2022年10月11日、化学システム工学専攻 山田 淳夫 教授が 「The Electrochemical Society, Battery Division Research Award」を受賞されました。

 

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受賞会場では、2002年にこの賞を受賞後、2019年にノーベル化学賞を受賞したStanley Whittingham教授と食事を隣席するという貴重な機会もいただきました。

 

The Electrochemical Society, Battery Division Research Award

毎年1名に授与される、電池材料研究分野で最も権威のある国際賞となります。

 

受賞された研究・活動について

受賞題目は、“Structure-Property Relationships in Battery Materials”(電池材料における構造・物性相関に関わる一連の研究)で、現在凄まじい勢いで世界市場を席巻し、「今後の基幹技術となっていく正極材料群LiFePO4(LFP)Li(Mn,Fe)PO4(LMFP,M3P)に関連する黎明期からの研究により、これらの有望性や性能限界の双方を的確に提示しつつその科学的基盤を確立した」ことが第一です。LFPの世界市場占有率は近く50%以上に達する見通しで、これに先んじてEVのリーディングカンパニーであるテスラは今年中にLFPの搭載比率を80%近くに引き上げるようです。来年にはM3Pの量産も本格的に立ち上がり、まずは世界で最も売れているEVであるテスラモデルYに搭載されることが既に報道されています。

第二には、「計算科学や機械学習手法を電解液や界面の実験研究と巧妙に融合し、俯瞰的現象理解を通じた高機能化や、構造因子を繰り込んだ新概念の提唱につなげた」ことも高く評価されました。特に、独自に固体化学分野の概念を拡張して提唱した、電極電位シフトや電極反応効率改善に対する本質的かつ定量的な説明変数であるLiquid Madelung Potentialは、これまでの電気化学理論で説明不可能な様々な現象に対して普遍的な理解を可能にする有益な新概念として認知され、広く浸透しつつあります。

 

今後の抱負・感想

大変な栄誉であり、これまでの研究活動に対して国際的な評価をいただけたことは、望外の喜びです。今後の世界の電池研究発展に対し、さらなる貢献を通じて責任を果たすという思いを新たにすると同時に、これまで支えて頂いた多くの先生方、同僚、学生、秘書の皆様をはじめとするすべての関係者の方々に厚く御礼申し上げます。