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若手研究者紹介:小菅 敦丈 講師

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電気系工学専攻 黒田・小菅研究室 小菅 敦丈 講師

 

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【経歴】

20169月 慶應義塾大学大学院 理工学研究科 博士課程修了 博士(工学)

201610月 日本学術振興会 特別研究員(PD

20174月 株式会社 日立製作所

20205月 ソニー株式会社

20211月 東京大学大学院 工学系研究科 電気系工学専攻 講師

 

【研究について】

私の研究テーマは、AIの社会実装を実現する、低電力プロセッサ技術です。

急速な進化を遂げるAI技術。高度なAI技術はあらゆる分野で技術革新を興すと期待されていますが、同時にAIによる社会問題も表面化してきています。それはAIによるエネルギー危機です。AIは膨大な電力を消費しています。大規模言語モデルの学習1つをとっても、原子力発電所1基分に相当する電力を消費しています。今後AI技術を広く社会に普及させ、より豊かな社会を実現するためには、AIの省電力化が必要不可欠です。

私は半導体技術により、AIの消費電力を数桁削減する技術を開発しています。AIが大きな電力を消費する要因は、データ移動です。AIは膨大なデータを扱います。このため、巨大なデータを保存するメモリと、実際に計算を行うプロセッサ間のデータ移動が頻繁に発生し、大きな電力を消費しています。この問題を解決するために、私は3つの技術開発に取り組んでいます。

 

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(A) 布線論理型AIプロセッサ:

AIアルゴリズムは、人間の大脳における神経回路網を真似した、ニューラルネットワークにより多彩な機能の獲得に成功しました。本研究においても最新の脳神経科学の知見に学び、人工ニューロンと人工シナプスを半導体チップ上に実装した布線論理と呼ばれるAI半導体プロセッサを研究しています。市販のAIプロセッサと比較して、4桁も省電力化できることを明らかにしました。

 

(B) 3次元チップ集積技術:

大規模なAIモデル、特に学習応用では大規模メモリと大規模プロセッサの密な連携が不可欠です。メモリとプロセッサ間のデータ移動に伴う消費電力を削減するため、高度な3次元集積技術を研究しています。独自インターフェース技術により、消費電力の大幅な低減を実現しています。

 

(C) 半導体の民主化に向けた、短TAT・低コスト・自動設計技術:

先端半導体の設計開発には多額の時間と費用が掛かります。限られた大規模資本を有する大企業もしくは専門家のみが、専用半導体プロセッサを開発できる状況でした。多種多様なプレイヤーが自由な発想で、多くの独自省電力半導体プロセッサを開発できるよう、設計短TAT・低コスト・自動設計技術を開発しています。武田ビルにあるクリーンルームチームと共同で、専用プロセッサを低コストかつ短期間に製造できるように環境整備も進めています。半導体設計をより多くの人に体験し学べるよう、ワークショップの開催も行っています。

 

【今後の抱負】

暮らしを豊かにするAIやIT技術ですが、その成長を後押しするべく高度な処理性能を低電力に行う半導体技術の研究を進めていきます。多くのプレイヤーが参画し、多種多様な人材が多彩な独自チップを設計開発できる半導体の民主化を推進します。

 

【URL】

黒田・小菅研究室:http://www.kuroda.t.u-tokyo.ac.jp/

小菅敦丈https://sites.google.com/view/atsutakekosuge/

2021 MIT Technology Review Japan Innovators Under 35

https://www.technologyreview.jp/l/innovators_jp/261818/Atsutake-Kosuge/