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化学生命工学専攻 青木航さんが第3回JACI/GSCシンポジウムにおいてポスター賞を受賞されました

 

化学生命工学専攻 青木航さんが、第3回JACI/GSCシンポジウムにおいて、ポスター賞を受賞しました。新化学技術推進協会(JACI)によるグリーン・サステイナブル ケミストリー(GSC)をテーマとしたシンポジウムです。 

 

 

<受賞された研究について>

ギ酸は世界で年間70万トン以上、主に一酸化炭素と水から合成されています。一方、ギ酸は二酸化炭素と水素から合成することもできます。二酸化炭素は安価で毒性が低く、豊富に存在する炭素源としてその有効利用が望まれています。当研究室で開発されたPNPピンサー型配位子を有するIrトリヒドリド錯体1-Hは、二酸化炭素の水素化によるギ酸合成触媒として高い活性を示します。しかし、この反応では水酸化カリウムを用いるため、得られたギ酸カリウムからギ酸を得るためには中和が必要で、不要なカリウム塩が副生してしまいます。これに対し、アミンのような有機塩基を用いると、生成するギ酸塩から蒸留によってギ酸を単離することが可能となります(Scheme 1)。今回私はアミンの弱い塩基性条件下でも高活性な触媒の開発を目指し、電子的性質の異なる配位子の合成を行い、その影響を調べました。その結果、ピラジン骨格の配位子をもつ錯体2-Clではピリジン骨格の1-Clより触媒回転数が向上し、1-Hとともに有機塩基条件下での二酸化炭素の水素化で非常に高い触媒回転数となりました(Scheme 2)。

 

 

<今後の抱負・感想>

このような賞を頂けたことを大変うれしく思っています。これを励みにより一層研究に精進したいと思います。ご指導いただきました野崎京子教授を始め、研究室の皆さんに心より感謝申し上げます。