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バイオエンジニアリング専攻 鎌田宏幸さんが日本化学会第94春季年会において優秀講演賞(産業)を受賞されました

 

バイオエンジニアリング専攻の鎌田宏幸さんが、日本化学会第94春季年会において、優秀講演賞(産業)を受賞しました。この賞は、201441日時点で満40歳に達していない日本化学会正会員および学生会員の中から選ばれるもので、「産業に対する寄与が期待される基礎的または応的な概念、アイディア、実験法、実験結果などについての発表であり、発表者の研究に対する主体性や貢献度が優れ、 且つ今後の研究活動の層の発展の可能性を有すると期待されるもの。」に対して日本化学会会名で表彰されます。 

 

<受賞された研究について>

今回我々は、再生医療において細胞の足場材料となるハイドロゲルに、生体内における形状安定性を付与する基盤技術を確立しました。通常のハイドロゲルは水に溶けやすい高分子(親水性高分子)で構成され、生体内のような水が豊富な環境において外部から水を吸収して膨らみ(膨潤)、壊れやすくなるという欠点がありました。そこで、低温(10度)では水に溶け、生体温度 (37度)では収縮状態となる特殊な合成高分子(温度応答性高分子)をハイドロゲルに導入しました。すると、”膨潤する部分”と”収縮する部分”が相反することになり、見かけの形状変化を相殺することが出来ます。我々が提案する材料は、世界初の、生体環境で初期形状・高強度を保つハイドロゲルです。将来、人工軟骨へ向けた応用や、再生医療における万能細胞の一時的な足場材料としての利用が期待されます。

 

 

<今後の抱負・感想>

このたびは、優秀講演賞という栄誉ある賞を賜り、大変感激しております。本研究の成果は、東京大学工学系研究科の酒井崇匡助教および鄭雄一教授からの多大なるご指導とご助言の賜物であります。この場をお借りしてお礼申し上げます。今後も本受賞に恥じぬよう、邁進してまいります。