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高井まどか教授らが高分子学会においてパブリシティ賞を受賞されました

 

バイオエンジニアリング専攻 高井まどか教授の研究グループが生体適合性高分子ゲルを用いて生体内の糖で発電するバイオ燃料電池を開発し、高分子学会においてパブリシティ賞を受賞されました。

 

<背景・経緯>
①現状
バイオ燃料電池は、糖を二酸化炭素に分解する反応を発電に利用する発電デバイスである。体内のグルコースを発電の燃料に利用できるため、外部からの充電や燃料補給なしに体内埋込型医療機器・電子デバイスを動かし続けることが可能になると期待されている。これまで報告された埋め込み型バイオ燃料電池は、出力が低く、寿命が数時間または数日にとどまっており、実用化には至っていない。こうした課題は酵素の失活及び生体適合性の低さに由来すると考えられる。そこで、我々はバイオ燃料電池の材料として生体適合高分子ゲル材料の開発を行った。
②研究成果
本研究では、埋め込み型の応用に向けて、生体適合性を持つ双性イオン高分子を利用して、エネルギー変換部位を持つ多機能型高分子ゲル材料を創製した。このゲル材料を利用し、1. 酵素活性を維持2. 優れた生体適合性・血液適合性を持つバイオ燃料電池の開発を目指している。開発した材料を用いることで、優れた長期安定性が得られた。実際に3ヶ月にわたる長期発電にも成功しており、高出力及び長寿命な生体内埋め込み型バイオ燃料電池への応用が期待される。体内で利用できる次世代電源として、医療、情報、通信、環境といった分野への波及効果があり、社会の発展に貢献できると考えられる。

 

 

<今後の方向性>
生体内埋め込み型エレクトロニクスデバイスのエネルギー源としてヒトに用いる研究に展開する。さらに、動植物の糖も利用できることから、温度や湿度、有害物質などを検知し管理するスマート農業分野で用いる複数のセンサーを集積化した無線システムの電力源として実用化することを目的とする。

9月25日から27日まで福井大学にて開催する第68回高分子討論会で研究発表されました。 

 

プレスリリース本文:http://www.t.u-tokyo.ac.jp/shared/press/data/setnws_201909301344296302415096_470915.pdf

高分子学会:http://main.spsj.or.jp/koho/koho_top.php