プレスリリース

東京大学、東芝、日立、NEC、富士通、三菱電機で 次世代量子科学教育推進のための社会連携講座を共同開設

 

1.発表のポイント

◆次世代量子科学教育推進社会連携講座を設置して、幅広い量子科学技術に精通した量子ネイティブ人材を育成する教育研究プログラムを開始します。

量子科学技術国際卓越大学院とグローバル企業が連携することで、量子科学技術の速やかな社会実装を可能とする実践力強化を目指します。

◆産学官の幅広い分野におけるキャリアパスを提示するとともに、日本の将来を切り拓くリーダー人材を輩出することを目指します。

 

2.発表概要

国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(所在地:東京都文京区、研究科長:染谷 隆夫)は、量子科学技術に精通する国際的研究人材を育成することを目的として、産業界と連携した新しい教育プログラムを開始します。具体的には、「次世代量子科学教育推進社会連携講座」を創設し、グローバル企業と連携し、工学系研究科等で学ぶ博士課程大学院生の中で優秀な学生を対象として、量子科学技術の速やかな社会実装を通じてSDGsやグローバル・コモンズに適合する課題を解決する量子ネイティブ人材の育成を行います。

 

3.発表内容:

国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(以下「東京大学」)は、株式会社東芝(以下「東芝」)、株式会社日立製作所(以下「日立」)、日本電気株式会社(以下「NEC」)、富士通株式会社(以下「富士通」)、三菱電機株式会社(以下「三菱電機」)と、202331日に「次世代量子科学教育推進」社会連携講座を東京大学内に開設し、量子科学から量子技術まで広く俯瞰できる研究教育プログラムを展開するとともにキャリアパス支援プログラムを提供することで、幅広い量子科学技術に精通し、速やかな社会実装を通じてSDGsやグローバル・コモンズに適合する課題を解決する人材育成を行う活動に着手します。

本講座は、情報通信関連機器とITサービスを提供する大手5社と東京大学の量子科学技術国際卓越大学院(WINGS-QSTEP)で、量子科学技術関連分野に携わり博士後期課程に在籍する学生に対して量子科学技術に関する卓越した教育プログラムを提供します。これにより、産業界との連携を強めることで、アカデミアだけでなく産業界や官界といった幅広いキャリアパスを提示するとともに、学生のマインドセットに変革をもたらし、日本の将来を切り拓くリーダー人材を輩出することを目指します。    

 

量子科学技術国際卓越大学院(WINGS-QSTEP)とは

幅広い量子科学技術に精通し、速やかな社会実装を通じてSDGsやグローバル・コモンズに適合する課題を解決する卓越した国際的研究人材を育成するための教育研究プログラムを提供する専攻横断型大学院です。20世紀初頭に量子力学が誕生してほぼ100年が経過し、量子力学を基礎とした科学技術は深化を続けてきました。21世紀においては「量子科学技術」が、量子物理、量子化学や量子生命科学といった基礎的な学問領域を強固なものにしつつも、それらを越えて社会実装を明確に意識した工学に展開しSDGsのような世界規模の課題を解決するという視点から、社会を大きく変革することが期待されています。このことから、量子科学技術を自在に使いこなす量子ネイティブの教育や速やかな社会実装を可能とする適切なキャリアパス支援が喫緊の課題となっています。これまでの東京大学では、個別研究科を中心とする大学院教育体制をベースとして研究拠点が形成されることが多く、量子科学技術を広く俯瞰しつつ国際的に卓越した研究人材の育成が極めて重要となっています。そこで、本国際卓越大学院では、「量子科学技術」に関して、専攻・部局の枠組みを取り払い、量子科学技術研究における世界トップクラスの教員・研究者陣による横断的かつ体系的な教育プログラムを提供し、幅広く量子科学技術分野で国際的に活躍できる量子ネイティブ人材を育成することを目的としています。あわせて、速やかな社会実装を可能とするキャリア教育も行います。具体的には下記の教育研究プログラムを東京大学に在籍する博士課程学生に対して提供しています。

 

  • 幅広い視野を養成する複数教員指導システム
  • 量子科学技術に関連した量子科学技術特別講義・演習・実習
  • 企業連携講義・実習、インターンシップなどを通じたキャリア教育プログラム
  • 海外交流支援、共同研究支援

 

社会連携講座の概要

講座名:次世代量子科学教育推進

設置日:2023年3月1日

設置期間:3年間

設置責任者:工学系研究科長・工学部長

設置先:東京大学大学院工学系研究科

 

参画企業からのコメント

 

●    株式会社東芝
東芝は、複雑化する社会課題に対応するため量子科学技術を活用し、あらゆるプラットフォームが業界を超えて最適な形で繋がるQX(Quantum Transformation)により新たな社会価値を創造することを目指しています。重要な社会課題の解決、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミーの実現や繋がるデータ社会の構築に向け、この社会連携講座を通じて未来を担う人材育成に貢献し、人と技術の両面での産学官連携を密にすることで、量子科学技術の速やかな社会実装、QXを加速してまいります。

●    株式会社日立製作所
グローバル&デジタル時代において、多様な価値観の受容や顧客の求める価値の変化、複雑化する社会課題に対応するために、人財は最も重要な原動力であると考えています。量子分野を牽引するには、量子ネイティブという言葉があるように、若いころから分野に馴染み、研鑚を積んだリーダー人財が必須です。今、量子ネイティブ人財が世界中から求められています。このたびの講座開設は時宜を得ており、日立も本講座に参画し、本分野の人財育成に貢献してまいります。

●    日本電気株式会社
量子技術は、社会・経済を飛躍的に発展させる鍵となる革新技術としてその研究開発に対する一層の加速が求められています。
NECは、量子科学技術の速やかな社会実装を実現する量子ネイティブ人材育成のための本社会連携講座開設に大きな期待を寄せるとともに、当社が保有する量子コンピューティング、量子暗号、量子センシング技術領域を中心に、連携講義やインターンシップの場の提供等を通じ人材育成に貢献いたします。

●    富士通株式会社
富士通は、将来の社会課題解決を担うと期待されている、量子コンピューティングの研究開発に取り組んでいます。量子コンピューティングをはじめとする量子技術の発展、および社会実装のためには、量子科学を深く学んだ人材が必要ですが世界的にそのような人材はまだ不足しています。本社会連携講座を通して、将来の量子技術を基盤とした社会を支える人材が育つことを期待しています。

●    三菱電機株式会社
三菱電機は、総合電機メーカとして、ビル・産業・公共・宇宙・空調・IT等幅広い分野で事業を展開しております。本講座を通じて産学官の連携を強化し、様々な領域における量子技術の速やかな社会実装に向けて貢献してまいります。



 

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