プレスリリース

銅に色素を塗るだけでスピン変換機能を発現:マテリアル工学専攻 南谷英美講師(研究当時)ら

 

東京大学物性研究所の一色弘成助教、三輪真嗣准教授(大阪大学大学院基礎工学研究科 招へい准教授兼任)、大谷義近教授(理化学研究所創発物性科学研究センターチームリーダーを兼任)、理化学研究所の近藤浩太上級研究員らの研究グループは、東京大学大学院工学系研究科、同大学院新領域創成科学研究科、大阪大学および金沢大学のグループと共同で、青や緑の顔料で有名な色素分子フタロシアニン(注1)を金属銅の表面に塗るだけで、スピン流(注2)を電流に変換する機能が発現することを実証しました。さらにこの変換機能は、銅表面の膜厚がフタロシアニン分子1層の時に最大化することを見いだし、白金やビスマスといった重金属を用いたスピンホール素子と同等の性能を有することを示しました。
スピン流-電流変換はスピントロニクスの要素技術一つであり、近年、異種物質接合界面で起こる電流とスピン流(注2)の相互変換現象が注目を集めています。本成果は、これまでにない有機分子と金属の接合界面を用いて、スピントロニクス応用の要となるスピン変換機能を発現しました。今後は、分子の持つ高い設計自由度を使った新規電子デバイスの実現が期待されます。
本研究成果は、2019年9月12日にNano Letters誌に掲載されました。

 

プレスリリース本文:PDFファイル

Nano Letters:https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.nanolett.9b02619

東京大学物性研究所:http://www.issp.u-tokyo.ac.jp/maincontents/news2.html?pid=8616

国立研究開発法人理化学研究所:http://www.riken.jp/pr/press/2019/20190913_2/

大阪大学:https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2019/20190912_1

金沢大学:https://www.kanazawa-u.ac.jp/rd/71439

東京大学大学院新領域創成科学研究科:https://www.k.u-tokyo.ac.jp/