若手研究者紹介:095
戸田 賀奈子
助教 原子力専攻 |斉藤研究室

経歴
2018年 4月-2021年 3月
日本学術振興会 特別研究員(DC1)
2021年 3月
北海道大学大学院工学院 修了 工学博士
2021年 4月〜
東京大学工学系研究科 原子力専攻 助教
私は、放射性廃棄物や産業副産物といった、経済活動に伴い発生してしまうものを、安全に閉じ込める、あるいは資源として利用するための研究をしています。柱は3つです。
1つめは、セメントに代わり放射性核種の保持性能が良いとされる固化材料を用いて、放射性廃棄物を安定に閉じ込める技術の開発やその基礎的な特性の解明。2つめは、製鋼スラグや浚渫土といった未利用の非金属資源を、建設材料として活用するための応用地球化学的研究。3つめは、福島の除去土壌等をめぐる復興再生利用や県外最終処分に向けた固化技術の提案・評価や社会受容性評価の基盤となる再生利用・最終処分シナリオのコスト分析です。
浚渫土と製鋼スラグの課題は博士課程からの継続テーマで、一見すると毛色が違って見えるかもしれません。ただ、材料の中で必要な性能がなぜ発現するのかを理解するという点では、柱の1も2も、同じ問いに向き合っています。例えば放射性廃棄物の場合、実験室で確かめられるのは数年の核種の保持性能ですが、実際に性能を問われるのは数十年、あるいはそれ以上の時間です。放射性核種が拡散する移行パスの構造と、それが生成する理由まで理解(図1)できれば、長期的な挙動に学術的な根拠を示せますし、より保持性能の良い材料の提案にもつながります。一方、スラグや浚渫土の資源利用では、建設材料としての強度発現のメカニズム理解が、現場での利用促進に直結します。この基礎と応用の距離の近さが、工学的な研究の面白さだと思います。

(図1.中性子小角散乱による固化材料の空隙構造変化のin-situ測定)
まだわかっていないことを明らかにし、長い時間を相手にする判断に、学術の側から根拠を提示していきたいと思っています。
学生時代から現在に至るまで、周りの皆様に、数多くの経験と挑戦の機会をいただいてきました。私自身も、学生の皆さんに面白く、挑み甲斐のある研究テーマを用意できるように努力を続けていきたいと思います。
最近の趣味は息子の趣味を一緒に楽しむことです。 アンパンマン列車(特急しおかぜ)、激アツでした。
斉藤研究室:https://webpark1860.sakura.ne.jp
Kanako Toda:https://kanakotoda.github.io
※所属・職位は取材当時のものです。