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2026年6月4日、化学システム工学専攻 岸本 史直 講師、石橋 涼さん(D3)、高鍋 和広 教授が公益社団法人日本セラミックス協会 JCS-JAPAN優秀論文賞を受賞されました。

公益社団法人日本セラミックス協会 JCS-JAPAN優秀論文賞
Journal of the Ceramic Society of Japanはセラミックスの科学と技術に関する報文を掲載する学術誌、現在では年間に二百数十編もの報文が発表される国際的な学術誌です。本論文誌に掲載されました報文の中から特に優秀と認められる報文を毎年3件程度選考し、標記の表彰を行っているものです。
受賞された研究内容・活動について
我々の研究グループでは、化石燃料の燃焼に依存しないクリーンな化学工業プロセスの確立を目指し、マイクロ波エネルギーで駆動する次世代型化学反応器の開発に取り組んでいます。ここで重要なのは、単に熱源を従来のバーナーからマイクロ波加熱へ置き換えることではなく、反応系へのマイクロ波電磁界の照射によって生じる新たな物理化学現象を解明し、「マイクロ波ならでは」のユニークな化学反応場を創出することです。
この研究を進める上では、化学反応系内でマイクロ波エネルギーを吸収する成分や部位がどのような化学構造を有しているのか、また、それらがマイクロ波エネルギーを吸収して熱エネルギーを発生させ、さらに化学エネルギーへと変換していく過程を、原子レベルで丁寧に解明する必要があります。
今回の受賞対象となった論文では、酸化インジウムとゼオライトの複合材料に着目しました。この材料に水素雰囲気下でマイクロ波を照射すると、極めて高いマイクロ波吸収能を示すことを発見しました。詳細な解析の結果、マイクロ波加熱下では酸化インジウムが部分的に還元され、1価インジウムイオンがゼオライト細孔内に導入されることを確認しました。
さらに、大型放射光施設SPring-8を用いた詳細な実験により、この1価インジウムイオンがマイクロ波を効率よく吸収する「アンテナ」として機能し、原子スケールの局所的な高温スポットとして振る舞うことを明らかにしました。本成果を応用し、我々は高効率な二酸化炭素還元による一酸化炭素生成も続報において実証しています(https://www.t.u-tokyo.ac.jp/press/pr2025-10-11-001)。
今後の抱負・感想
近年、欧米諸国を中心に、多数のスタートアップ企業等によるマイクロ波駆動型化学反応器の開発が極めて活発化しています。日本がこの潮流に遅れを取らないためには、前述の通り、単なる熱源の置き換えにとどまらない「マイクロ波ならでは」の現象を一つ一つ紐解き、盤石な基礎に立脚した応用研究を着実に進めていくことが必要であると考えています。
我々の研究グループでは、今回の論文成果も含め、マイクロ波駆動化学反応系を原子レベルから理解するための学理の構築を進めるとともに、その知見を社会実装へとつなげることで、世の中に役立つ成果の創出を目指して研究を推進していきます。
関連リンク
日本セラミックス協会 https://www.ceramic.or.jp/act/jcs-japan-award.html
化学システム工学専攻 高鍋・小畑・岸本研究室 https://www.catec.t.u-tokyo.ac.jp/


