トピックス

若手研究者紹介:竹中 充准教授

 

 

 

【経歴】

1998年東京大学工学部電子工学科卒業
東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻修士課程(2000年)および博士課程修了(2003年)

光産業技術振興協会博士研究員(2003年~2007年)を経て2007年4月に東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻講師として赴任
2008年4月より東京大学大学院工学研研究科電気系工学専攻准教授

 

【研究について】
シリコン光集積回路を用いた次世代コンピューティング技術の研究を行っています。
シリコン大規模集積回路(LSI)は半導体微細化により飛躍的な性能向上を続けており、今日の情報社会の発展を実現してきました。しかし、半導体微細化は物理的限界に近づいており、10年程度で所謂「ムーアの法則」は終焉を迎えてしまうと危惧されています。一方、人工知能の急激な発展に代表されるように、一層のコンピューティング能力の向上が必要となっています。このため、半導体微細化によらず性能向上が可能な次世代コンピューティング技術の研究が世界中で進められています。
私の研究室では、シリコン万能光回路を用いた深層学習の研究を進めています。シリコンフォトニクス技術の発展により、シリコン基板上に大規模な光集積回路を作製可能になりつつあります。光スイッチを多数集積した万能光回路上で光演算することで、超高速かつ超低消費電力な深層学習を実現できると期待されています。
我々はシリコン万能光回路を実現する上で鍵となるMOS型光位相シフタの実証に成功しました(Nature Photonics, vol. 11, no. 8, pp. 486–490, Jul. 2017)。化合物半導体界面に蓄積させた電子を用いることで、高効率・低損失・省電力な光位相制御を実現しました。現在、この革新的光位相シフタを用いた深層学習アクセラレーターの実現を目指したデバイスや光回路の研究を進めています。

 

【今後の抱負】
これまで50年以上続いてきたムーアの法則がついに終焉を迎えつつあり、新しいコンピューティング手法に関する様々な研究開発が世界中で活発になっています。まさにコンピューター技術におけるカンブリア紀を迎えており、研究者にとってエキサイティングな時代と言えます。シリコン光回路上で自在に光を操り新しいコンピューティングを実現する研究はまだ始まったばかりで、未知なことに溢れています。常に新しいことに挑戦して、次世代コンピューティングの発展に寄与したいと考えています。

 

<参照URL>
高木・竹中研究室 http://www.mosfet.k.u-tokyo.ac.jp/