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藤嶋 昭 特別栄誉教授が平成29年度文化勲章を授与されました

 

藤嶋 昭 特別栄誉教授(現東京理科大学学長)が平成29年度文化勲章を授与されました。


文化勲章とは、芸術や学問など、文化の発達にめざましい功績をあげた人に授与される勲章です。
毎年11月3日の文化の日に授与式が行われ、天皇陛下から直接、橘の中央に曲玉をデザインした勲章が贈られます。

− 東京大学:http://www.u-tokyo.ac.jp/ja/news/notices/notices_z1304_00042.html


●藤嶋 昭 特別栄誉教授


●政策ビジョン研究センター 橋本和仁教授より(学内広報より)
電気化学的に水を分解するには正極と負極の電位差は1.23 V以上必要、これは熱力学の教えるところです。このことは白金参照電極を用いたとき、正極には少なくとも1.23 Vの電位が必要ということを意味しています。ところが1960年代終わりごろ、当時、本学の修士学生であった藤嶋先生は酸化チタン電極を正極に用い、紫外線を照射すると1.23 Vよりも低い電位で酸素が発生する現象を見出したのです。有名な「ホンダ・フジシマ効果」の発見です。これは反応に光エネルギーが関与したためで、現在では当然のことと納得できますが、当時は全く理解されず、学会発表や学位取得の際にずいぶん苦労されたそうです。しかし、1972年にこのお仕事がNature誌に掲載されると世界中の研究者の注目を集めることとなり、半導体光電気化学という分野の幕開けとなりました。現在もこの分野は未来のエネルギー技術として期待の大きい人工光合成分野の基盤として大いに注目されています。
一方で、1990年ごろから藤嶋先生は酸化チタンを種々の材料にコーティングした薄膜光触媒の研究へと展開させました。材料表面の汚れ物質や細菌などを光触媒分解しようという考えです。それまでの光触媒反応が水分解や水処理といった三次元空間にある物質を対象としていたのに対し、藤嶋先生の研究は反応系を二次元表面にしたことに特徴があります。これにより微弱な紫外線の下でもセルフクリーニング効果や抗菌効果など極めて実用的な機能が得られることとなりました。さらに酸化チタン表面は光照射により高い親水性となることも見出し、光触媒コーティング材料の応用範囲は格段に広がりました。現在、光触媒関連市場は国内だけで年間700億円程度と推定されており、基礎から実用化に至るまでわが国発の技術として高く評価されています。
(政策ビジョン研究センター 橋本和仁)


●各種リンク

− 内閣府:http://www8.cao.go.jp/shokun/hatsurei/29aki.html
− 毎日新聞:https://mainichi.jp/articles/20171025/ddm/012/040/057000c
− 東京大学ホームページ:http://www.u-tokyo.ac.jp/index_j.html
− 日本経済新聞社:https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22622140U7A021C1000000/
− 産経ニュース:http://www.sankei.com/life/news/171024/lif1710240043-n1.html
− 朝日新聞デジタル:http://www.asahi.com/topics/word/%E8%97%A4%E5%B6%8B%E6%98%AD.html
− 時事.com:https://www.jiji.com/jc/article?k=2017102400559&g=soc