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- 2016
沙川 貴大 准教授がトムソン・ロイター社「リサーチフロントアワード」を受賞されました
物理工学専攻の沙川貴大准教授が、トムソン・ロイター社「リサーチフロントアワード」を受賞されました。この賞は、トムソン・ロイター社の保有する論文情報・引用分析を基に、4年に一度、今後飛躍的な発展が期待される先端研究領域の特定と共に、その領域で世界をリードする日本の研究者の方々を発表するものです。
<受賞した研究について>
19世紀の「マクスウェルのデーモン」の提案以来、情報と熱力学の間にどのような関係があるかについて、多くの研究がなされてきた。しかしこれまで、実際にマクスウェルのデーモンを実現した実験はなく、情報と熱力学の関係を理解するための一般的な理論も存在しなかった。
沙川准教授は、情報理論と熱力学を融合して、情報熱力学と呼ぶべき新しい理論を構築した。とくに、近年の非平衡統計力学の成果と(量子)情報理論を融合することにより、熱力学第二法則や非平衡統計力学の関係式を、情報処理過程に適用できる形に一般化した。そこから、測定やフィードバック制御といった情報処理プロセスに必要なエネルギーコストの原理的な下限が明らかになった。さらにその帰結として、マクスウェルのデーモンがなぜ第二法則と矛盾しないかについての、定量的かつ一般的な説明が与えられた。
また東京大学と中央大学の共同研究によって、「マクスウェルのデーモン」が世界で初めての実験的に実現された。この実験では、水中のコロイド粒子に対するフィードバック制御により、情報を自由エネルギーに変換できることが確認された。さらに、情報熱力学の基本原理のひとつである非平衡関係式も検証された。
<今後の抱負・感想>
熱力学と情報を融合する理論の構築をはじめ、非平衡統計力学の基本原理を探求する研究を行ってきました。このたびは大変栄誉ある賞をいただけたことを光栄に思います。これからも、物理学と情報科学の境界領域の更なる深化・発展に貢献できるよう、全力を尽くしていきたいと思います。
リサーチフロントアワード:/shared/topics/data/setnws_20160707132515448321425383_903752.pdf
受賞者一覧:/shared/topics/data/setnws_20160707132515448321425383_050940.pdf
補足資料; /shared/topics/data/setnws_20160707132515448321425383_368987.pdf
関連リンク: http://ip-science.thomsonreuters.jp/press/release/2016/rf2016/