プレスリリース

単一超伝導ナノチューブトランジスタの実現 ―省エネルギーナノエレクトロニクスの新展開へ期待―

 

東京大学大学院工学系研究科附属量子相エレクトロニクス研究センター・物理工学専攻の岩佐義宏 教授(理化学研究所 創発物性科学研究センター 創発デバイス研究チーム チームリーダー兼任)、同研究科附属量子相エレクトロニクス研究センターの井手上敏也 助教、同研究科物理工学専攻の秦峰 大学院生らの研究グループは、イスラエルにあるHolon Institute of TechnologyのA. Zak上級講師、同国のワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science)のR. Tenne教授、理化学研究所物質評価支援ユニットの橋爪大輔ユニットリーダーらの研究グループらと共同で、無機ナノチューブの一種である二流化タングステン(WS2)ナノチューブに対して電解質ゲートを用いたキャリア数制御を行うことにより、WS2ナノチューブの電気伝導性を制御できること、電子を多量にドープした領域で超伝導が発現することを発見した。この結果は単一ナノチューブにおける超伝導の初めての報告であり、さらに超伝導特性を詳細に測定することにより、螺旋状の巻き方の自由度を持つ円筒構造という特徴的な形状に由来する新規超伝導輸送特性の観測にも成功した。本研究成果は、対称性が破れた低次元電子系における新奇超伝導という新たな学術分野を切り開く礎となるだけでなく、省エネルギーナノエレクトロニクスに新たな指針を与えることが期待される。

本研究成果は、英国科学雑誌『Nature Communications』(平成29年2月16日)に掲載された。

 

 

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Nature Communications : http://www.nature.com/articles/ncomms14465