RNAがメチル化などの修飾を受けることが近年明らかになり、RNA修飾研究が世界的に盛んな研究分野となっています。東北大学加齢医学研究所の小川亜希子助教と魏范研教授(前熊本大学大学院生命科学研究部)は、RNA修飾を網羅的に検出する「モドミクス技術」を用いて解析し、東北大学大学院薬学研究科の井上飛鳥准教授、熊本大学大学院生命科学研究部の富澤一仁教授、井上俊洋教授、熊本大学病院の谷原秀信病院長、東京大学大学院工学系研究科の鈴木勉教授、東京大学大学院理学系研究科の志甫谷渉助教、濡木理教授らと共同研究を行い、RNA修飾の代謝後に生じる「N6-メチルアデノシン(m6A)」が強力な受容体シグナル応答を引き起こし、アレルギーなどの炎症を惹起することを発見しました。
これまでRNA修飾の細胞内の機能については数多くの報告がありますが、代謝後に細胞外へ分泌される因子の生理作用については知られていませんでした。生体内の生理活性を持つ液性因子として、RNA由来の修飾ヌクレオシドが重要な役割を担うことを新たに提唱しました。今後、血液中・尿中あるいは眼内の修飾ヌクレオシドを調べることで、様々な疾患に対する診断や治療の発展が期待されます。
本研究結果は1月20日付(米国時間1月19日)の米科学誌「Molecular Cell」に掲載されました。
プレスリリース本文:PDFファイル
日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP603384_Z10C21A1000000/
Molecular Cell:https://www.cell.com/molecular-cell/fulltext/S1097-2765(20)30959-X