プレスリリース

低電流でのスキルミオン制御に成功-省エネで情報操作可能な電子デバイス機能を創出- : 物理工学専攻 金澤直也 講師、永長直人 教授 十倉好紀 卓越教授ら

 

理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター電子状態マイクロスコピー研究チームの于秀珍チームリーダー、強相関量子構造研究チームの有馬孝尚チームリーダー(東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)、強相関理論研究グループの永長直人グループディレクター(東京大学大学院工学系研究科教授)、強相関物性研究グループの十倉好紀グループディレクター(東京大学卓越教授/東京大学国際高等研究所東京カレッジ)らの共同研究グループ※は、低電流密度のパルス電流によって、直径約1万分の1ミリサイズの磁気渦「スキルミオン[1]」の生成・消滅・移動を制御することに成功しました。
本研究成果は、省エネで大容量の情報処理ができる電子デバイスの開発につながると期待できます。
スキルミオンは、微小電流で移動を制御できることがこれまでにも提唱されていますが、単一スキルミオンではまだ実証されていませんでした。
今回、共同研究グループは、小さな「切り欠き」をつけたらせん磁性体FeGe(Fe:鉄、Ge:ゲルマニウム)のマイクロデバイスを作製しました。このデバイスに、レーストラック・メモリ[2]で使用される電流密度より3桁低い微小電流の超短パルスを流した結果、直径80ナノメートル(nm、1nmは10億分の1メートル)の単一スキルミオンとスキルミオン格子[1]が生成・消滅・移動することが分かりました。さらに、スキルミオンクラスター(凝集体)の回転運動を初めて直接観察しました。
本研究は、科学雑誌『Science Advances』の掲載に先立ち、オンライン版(6月17日付:日本時間6月18日)に掲載されました。



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科学技術振興機構:https://www.jst.go.jp/pr/announce/20200618-2/

理化学研究所:https://www.riken.jp/press/2020/20200618_1/index.html

日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP535911_W0A610C2000000/