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相田卓三教授が「革新的ソフトマテリアルの精密階層設計に関する研究」で第108回日本学士院賞を受賞されました

 

日本学士院第108回授賞式は、天皇皇后両陛下のご臨席のもと行われ、日本学士院長のご挨拶のあと、受賞式(恩賜賞と日本学士院賞 2名、日本学士院賞 7名、日本学士院エジンバラ賞1名)がありました。
その後、内閣総理大臣および文部科学大臣による祝辞がありました。

日本学士院における授賞制度は、明治43年に創設され、学術上特にすぐれた論文、著書その他の研究業績に対して授賞を行っております。

 

 左から大久保研究科長と相田卓三教授

 

<日本学士院賞 受賞理由>
相田卓三教授は、分子が「ナノ領域を経て巨視領域に至る階層構造を形成する」ボトムアップ集積プロセスにおいて「多価相互作用」や「物理的摂動」を駆使し、世界を驚嘆させる多くの革新的ソフトマテリアルを開拓しました。昨今、研究者の視線がこれまでの「希薄平衡系」からより複雑な「凝縮非平衡系」に移行しつつありますが、相田氏は20年程前に無機材料のナノ細孔を反応場としたエチレンの押し出し重合を発見し、凝縮非平衡系での階層的組織化に立ちはだかる速度論的トラップを制御するためのヒントをいち早く察知しました。それを契機に上述の多価相互作用や物理的摂動を駆使してナノ領域と巨視領域の間に存在するMissing Linkを繋ぐことで未成熟だった当該分野を牽引し、ほぼ水から成るのに強靭で異方的なアクアマテリアルや破断しても室温で圧着修復できる樹脂ガラスなど、他に類のない独創的な物質科学を深く広く展開してきました。
http://www.japan-acad.go.jp/japanese/news/2018/031201.html#006

 

<今後の抱負・感想>
まず第一に、長い間にわたり研究室の文化を維新しつつ継承して下さっている現・旧学生諸君と若手スタッフに心から感謝したいと存じます。また、寛大でオープンマインドな学科メンバーや理研CEMS(現本務)のパワフルな同僚とスタッフメンバーの継続的なご支援、変わらぬ友情を注いでくれている世界の友人、大型研究費を下さったJSTとJSPSの経済支援に厚く御礼を申し上げたいと存じます。これらのいずれかが欠けても、この賞はあり得ませんでした。これからもサイエンスの明るい未来を目指して全力疾走し、世界を魅了する研究を続けて行きたいと存じます。

研究題目:革新的ソフトマテリアルの精密階層設計に関する研究
http://www.t.u-tokyo.ac.jp/soe/press/setnws_201712151126279241637212.html

 

  

日本学士院賞について:http://www.japan-acad.go.jp/japanese/activities/index.html

日本学士院:http://www.japan-acad.go.jp/