プレスリリース

2017.12.15

割れてもなおるガラスの開発に世界で初めて成功~画期的な自己修復機能により、加熱溶融不要のポリマーガラス再利用を実現~:化学生命工学専攻 柳沢 佑学術支援専門職員、南 怡伶さん(M2)、大黒 耕助教、相田 卓三教授ら

窓ガラスは割れると廃棄され、新しいものに交換される。それは、損傷や破壊が不可逆的で、加熱溶融しないかぎり、再利用ができないからである。他の多くの構造材料も同じ運命をたどり、廃棄されていく。もし、破断したガラスが容易に修復できるようになれば、どうだろうか。「自己修復」は資源に限りがある地球上で持続可能な社会を構築していくための重要な概念である。

我々の体には、損傷部位を自発的になおす自己修復機能がある。10年ほど前から、ある種のゴムやゲルのような柔らかい材料が人の組織のように自己修復することが報告されるようになってきた。それらの自己修復材料が破断した場合、二つの破断面を互いに押し付けておくと破断面が融合し、そのまま再利用が可能になる。ゴムやゲルを形成している重要な成分は、小分子が一次元に長く繋がった高分子物質である。柔らかい組織を形成している高分子鎖は組織内部で活発に熱運動をしている。結果として、押し付けられた破断面の間で、高分子鎖が互いに相互貫入して絡み合い、非損傷部位と見分けがつかない組織を再生する。対照的に、ガラスのような固い材料を構成している高分子鎖は熱運動が著しく遅いため、破損前の組織を再構築できない。

東京大学大学院工学系研究科化学生命工学専攻の相田卓三教授(理化学研究所 創発物性科学研究センター 副センター長兼任)と同所属の柳沢佑 学術支援専門職員らの研究グループは、世界初の自己修復ガラスを開発した。室温で破断面を押し付けておくと修復・再利用が可能になる初めてのガラス素材であり、持続可能な社会への貢献が期待される。

 

プレスリリース本文:/shared/press/data/setnws_201712151126279241637212_338950.pdf

Science:http://science.sciencemag.org/content/early/2017/12/13/science.aam7588.full