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精密工学専攻 杉本 和也さんらが FA財団論文賞を受賞されました

 

2016年12月9日、精密工学専攻 杉本 和也さん(修士卒)、藤井 浩光特任助教、山下 淳准教授、淺間 一教授らが、FA財団論文賞を受賞されました。

FA財団論文賞は、「FAFactory Automation)」および「産業用ロボット」ならびに「これらに関する技術」に関する研究開発の奨励およびその進展、人材の育成を促進することを目的とし、その内容が独創性に優れ、かつ工業的価値が高いと認められる論文の著者に贈られる賞です。

 

 

受賞された研究・活動について>
本研究では、ロボット遠隔操作システムにおいて、低コストで高画質、さらにオンライン性を兼ね備えた遮蔽物の透視が可能な映像提示システムを実現しました。
FAや災害対応などの現場などにおいて、マシンビジョン技術は必要不可欠です。特に組立や溶接などの作業時のマニュピレータのガイドでは、作業対象物に対して精確なアプローチをするために、ビジョンセンサにより作業対象物とロボットとの相対位置を把握することが極めて重要となります。しかし、作業のためにエンドエフェクタが対象物に接近した場合、エンドエフェクタ自体が視界に入り込むことで、センサ映像中で作業対象物を遮蔽してしまい、目標位置との相対位置の把握が困難になる問題が生じます。従来は、精密なジグなどを用いて作業対象物を固定することで目標位置に対する並進ずれをあらかじめ無くすアプローチが取られてきましたが、ジグの製作やジグの取り付けのための前工程に要するコストや準備のための時間が大きな問題でした。
本研究では、ビジョンセンサと対象物までの距離を測る測距センサを組み合わせることで、映像中の立体物の遮蔽関係を計算し、手前の立体物に遮蔽された背景を透視可能な映像を生成する手法を提案しました。一般的にビジョンセンサや測距センサを用いて、複数の立体物の3次元形状を計測し、それらの遮蔽関係を求めることは、多大な計算時間がかかるためオンラインでの実現が困難な問題です。提案した手法では、ビジョンセンサと距離センサの対を複数台組み合わせ、ステレオカメラによる3次元測量の原理と、測距センサから得られる距離情報を相補的に用いることでこの問題を解決しました。

 

今後の抱負・感想>
研究成果が認められ、このような素晴らしい賞を頂けたことを光栄かつ嬉しく思います。本研究にご協力いただいた皆様に深く感謝いたします。今後は、本研究で得られた知見・技術を発展させ、社会に貢献できるように努めていきたいと考えています。