プレスリリース

2016.05.10

骨形成における新しい遺伝子制御メカニズムとその進化学的意義 ~骨形成に必須の転写制御因子Sp7/osterixの作動様式が明らかに~ : バイオエンジニアリング専攻 大庭伸介特任准教授ら

ヒトの骨は、骨芽細胞という細胞によって作られています。骨が作られるためには、Sp7/osterixという遺伝子発現のスイッチとして働く蛋白質が正常に機能して、骨芽細胞の形成に関わる遺伝子を正しく発現させることが必要です。これまでの研究によって、Sp7/osterixが遺伝子発現を制御する機構は、一部のゲノム領域において明らかとなっていましたが、ゲノム全領域での振る舞い等は不明なままでした。
東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻の大庭伸介特任准教授と南カリフォルニア大学エリ・アンド・イディスBroad-CIRM再生医療・幹細胞研究所の北條宏徳研究員、アンドリュー・マクマホン教授の共同研究グループは、Sp7/osterixによる遺伝子発現制御の様子を骨芽細胞のゲノム全域にわたって調べました。その結果、これまではSp7/osterixが直接特定のゲノム領域(GCボックス)に結合することによって、遺伝子発現を制御していること考えられていましたが、別の蛋白質と結合して間接的にゲノム領域に結合する機構が存在することを明らかにしました。加えて、Sp7/osterix蛋白質と今回新たに発見した機構は脊椎動物に特徴的であることが分かり、進化の過程で骨芽細胞が現れたことに伴って獲得された機構であることが示唆されました。
これらの知見は、ゲノム変異がもたらす骨格系の変性疾患・先天疾患の理解、それらの治療や骨格再生におけるゲノム創薬へ貢献することが期待されます。本研究成果は、2016年5月9日に米国科学雑誌「Developmental Cell」で発表されます。

 

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Abstract URL:http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1534580716301976