プレスリリース

2016.02.26

有用金属元素を高濃度で含む硫化物チムニーが短期間で成長 ~人工熱水噴出孔を利用した黒鉱養殖プロジェクトの本格開始~:システム創成学専攻 加藤泰浩 教授

国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 平 朝彦、以下「JAMSTEC」という)海底資源研究開発センターの野崎達生研究員らは、国立大学法人東京大学、国立大学法人九州大学、国立大学法人東北大学、早稲田大学と共同し、2010年9月に行われた地球深部探査船「ちきゅう」による統合国際深海掘削計画(IODP)第331次研究航海「沖縄熱水海底下生命圏掘削-1」において生成された沖縄トラフ伊平屋北海丘の複数の人工熱水噴出孔について、掘削後その直上に新たに生成したチムニーの詳細な記載および全岩化学分析を行った結果、短期間で急成長した硫化物チムニーには、有用金属元素が高濃度で含まれていることを明らかにしました。
特に、NBC(North Big Chimney)マウンドの裸孔の人工熱水噴出孔(C0016A孔)上に急成長したチムニーは、陸上の黒鉱鉱床には比較的まれな、黄銅鉱と閃亜鉛鉱の樹枝状組織や化学累帯構造を有する球状黄鉄鉱などの組織が多く観察されました。これらの構成鉱物や組織の詳細な観察は、チムニーの生成機構の解明に寄与すると考えられます。また、人工熱水噴出孔上に急成長したチムニーの硫化鉱物に富む部分は、平均で銅4.5%、鉛6.9%、亜鉛30.3%、鉄8.7%、数百ppmの銀および1.35 ppmの金が含まれていることを明らかにしました。
これらの濃度は、陸上黒鉱鉱床の高品位鉱石に匹敵するかそれ以上であることから、今後人工熱水噴出孔を利用した硫化物チムニーの養殖技術への応用が期待されます。また、人工熱水噴出孔上に生成したチムニーの鉱物学的性質を利用することで、元素の選択的な沈澱や抽出技術への応用も期待されます。黒鉱養殖技術開発の第一弾として、熱水の物理パラメーターを長期間計測するモニタリング装置を、現在実施中の「ちきゅう」による掘削調査「沖縄トラフ熱水性堆積物掘削II」において、沖縄トラフに設置する予定です。
本成果は、英国のNature Publishing Group(NPG)が発行する学術雑誌「Scientific Reports」に2月25日付け(日本時間)で掲載予定です。

 

詳細はこちらからご覧ください。

Abstract URL:http://www.nature.com/articles/srep22163