プレスリリース

東京大学がMEC対応のプログラマブルなソフトウェア・ ローカル5G基地局による映像AIソリューションの実証に成功


国立大学法人東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻中尾研究室(以下、東京大学中尾研究室)はこのたび、マルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)の概念をローカル5Gソフトウェアプログラマブル基地局システムに組み込み、高精細な映像のリアルタイム低遅延伝送、および、オープンソースを活用した機械学習により物体認識が可能な可搬型セキュアモニタリングシステムの技術実証に成功しました。

セキュアで安定した運用が可能なローカル5Gのユースケースとして、ミッションクリティカルな遠隔映像監視・映像処理(物体認識)を実現する可搬型システムにより、地方自治体や教育機関での安全安心なモニタリングを実現できます。

 

東京大学中尾研究室では、従来より「『ローカル5G』とは、地域の企業や自治体などが、5Gの通信を自由にカスタマイズして構築できる、いわば、「情報通信の民主化」を実現する重要な制度である」と認識しています。また、東京大学大学院工学系研究科では、地域の社会課題を解決するために、全国の自治体と連携協定を締結し、ローカル5Gを活用する様々な実証実験を行っています。本実証実験の成果も、地域創生・地域のDXに繋がる重要な技術の実証と考えています。

 

MEC対応のプログラマブルなソフトウェア・ローカル5G基地局による映像AIソリューションの概要

既存のスマートフォンのアプリとして実装されたIPカメラからの映像をローカル5Gソフトウェア基地局の MECMulti-Access Edge Computing)システムに組み込んだ映像機械学習処理とアプリケーションマルチキャスト処理により、複数の閲覧者に同時配信することで遅延なく映像をマルチキャスト配信(複数デバイスから同時にAI分析結果の映像を閲覧できること)できることを実証。

MECにて実施する映像解析(AI)処理は以下の通り。

①動態検知:指定したエリアで動作する物体を検知
②顔認識 :顔と思われる部分を抜き出し、顔面画像データベースと照合することで識別
③物体検知:物の位置と物が何であるかを識別


■動態検出の画面イメージ
fig1
■環境構成図
fig2
このたびの実証の成功を受け、東京大学中尾研究室は次世代ネットワーク技術である、プログラマブルでカスタマイズ可能なローカル5Gシステムを活用するセキュア・リアルタイム映像解析MEC技術の応用に取り組みます。

 

この成果は、東日本電信電話株式会社(以下、NTT東日本)との社会連携講座「地方創生を加速する次世代ワイヤレス応用技術」にて次世代情報通信技術の地方創生への適用を目指します。適用に向け今後、NTT東日本と共同で設立したローカル5Gオープンラボでの実証実験を予定しています。


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