プレスリリース

東京大学と日本ペイントホールディングスによる 産学協創協定の締結について -感染症リスクと共存できる社会・持続可能なスマート/リモート社会に向けてー

 

2020年5月19日
国立大学法人東京大学
日本ペイントホールディングス株式会社

国立大学法人東京大学(総長:五神真、以下「東京大学」)と日本ペイントホールディングス株式会社(取締役会長 代表執行役社長兼CEO:田中正明、以下「日本ペイント」)は、両組織の包括的な共同研究および人材交流を、高度なレベルで推進する産学協創協定を5月18日に締結しました。東京大学と日本ペイントは本協定を通じて、“塗料とコーティング”を軸に、抗ウイルス技術を含む新型コロナウイルス感染症の拡大防止に資する技術や、感染拡大が終息した後に訪れる新たな社会の課題解決に向けた技術の実現に注力します。また、スマート/リモート社会の基盤づくり、ならびに美しく魅力あふれる持続可能型社会を紡ぐための新たな技術を提供してまいります。

本協定の趣旨に基づく具体的な取り組みとして、東京大学大学院工学系研究科に社会連携講座「講座名:革新的コーティング技術の創生」の設置を決定しましたことをお知らせいたします。

 

産学協創連携協定締結の様子(場所:東京大学)
写真左:五神 真 国立大学法人東京大学 総長
写真右:田中 正明 日本ペイントHD㈱ 取締役会長 代表執行役社長兼CEO
※覚書締結時の五神総長ならびに田中社長のスピーチ動画は後日配信予定

 

1.産学協創の目的と背景

東京大学は、国際連合が採択した 17の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)の達成に向けて、誰もが活躍できるインクルーシブな社会づくりをめざす未来社会協創(FSI:Future Society Initiative)を実現しようとしています。このため、学内の「知」を集積し、学内外との連携を深め、生み出された技術の社会実装を通じて、グローバルに課題解決をリードしてまいります。その中で、SDGsの達成にむけたグローバル展開を視野に協業できるパートナーを探索しておりました。

東京大学大学院工学系研究科は、工学のトップランナーとしてこれまでにも異分野融合を進めながらさまざまな社会課題の解決を牽引してきました。現在、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、「新型コロナウイルス感染症の拡大防止に貢献できる工学研究」、「感染拡大が一旦終息した後に訪れる新型コロナウイルスと共生しなければならない社会、及び新型コロナウイルスのワクチンが普及した後も、未知の感染症の発生リスクに備え続ける社会(以下、両者を総称して“ポストコロナ社会”)を見据えた工学研究」を強化すべく新たな取り組みを開始しました。

日本ペイントは、アジアNo.1のグローバル総合塗料メーカーとして、ビルや戸建て住宅などの建物、橋梁などの大型構造物、自動車、新幹線などの鉄道車両や大型機械、船舶など、世の中のあらゆるところで人々の暮らしと産業の発展に貢献してきました。現在も、新型コロナウイルス感染症の拡大による社会不安に対して、塗料・コーティング・表面処理により貢献できる技術を開発すべく、新たな取り組みを強化しています。更に、現代社会が抱える、気候変動や自然破壊などの環境問題、高齢化社会や先進諸国における人口減少、資源枯渇といった難解な社会課題に対して、オープンイノベーションを通じて、革新的な塗料・コーティング技術の開発を加速してまいります。

本協定の締結により、卓越した知見・技術を有する東京大学の研究者ならびにその研究成果と、日本ペイントの塗料・コーティング技術の総合力が結びつくことを期待しています。そして、東京大学と日本ペイントは、美しく魅力あふれる持続可能型社会への貢献を目指してまいります。

 

2.協定期間と資金規模
・期間:2020 年から 2025年までの5 年間
・金額: 10 億円規模

 

3.社会連携講座の概要
・設置期間 2020年10月1日 から 2025年9月30日(5ヵ年間)
・代表教員 脇原 徹(東京大学大学院工学系研究科総合研究機構 教授)
・研究目的

塗装工程は、塗布、乾燥という単位操作が連続的に進行するプロセスです。顔料微細化などの材料高機能化、乾燥時の自己組織化などの操作パラメータ最適化、スケールアップ時のプロセス最適化といった多岐にわたる研究項目が存在します。

また、現在の新型コロナウイルス感染症の拡大という状況と、“ポストコロナ社会”を見据えると、革新的なコーティング技術に対するニーズが高まることが予想されます。具体的には、「抗菌・抗ウイルス機能を有し、感染拡大防止を実現するコーティング技術」「スマート/リモート社会の基盤を支えるコーティング技術」等が想定されます。

本社会連携講座では、多様な学問分野における東京大学の卓越した研究成果と企業の実用技術開発力を融合させることで、革新的なコーティング技術ならびに表面処理技術を創生してまいります。具体的には、新たな機能を有する塗装材料の探索、塗料の設計、塗装プロセスの革新等につながる物理的・化学的プロセスの解明や制御技術の確立等に取り組んでまいります。そして、これらを軸に未来の社会課題解決の可能性を提案することを目指し、以下の3つの方向性で共同研究を進めてまいります。

①抗菌・抗ウイルス機能を有し、感染拡大防止を実現するコーティング技術の研究
②将来予測されるスマート/リモート社会の基盤を支え、社会の効率性向上に貢献するコーティング技術の研究
③環境負荷低減/社会コスト抑制に貢献するコーティング技術の研究

・教育目的
塗料には複合的な機能(防汚、防曇、防菌、濡れ制御等)が同時に求められると同時に、次世代のコーティングでは従来と全く異なる塗装プロセスが必要となる可能性があります。このような次世代のコーティングにおいては、高機能な塗料の調製条件を理解した人材、塗布時の分子レベルの挙動を理解した人材、塗装工程全体を俯瞰して新たな塗装プロセスを設計できる人材など、新たな知識と技術を習得した人材が求められます。本講座では、このような高度人材の育成を推進するとともに、次世代の高度人材を輩出するための教育プロセスの確立にも積極的に取り組みます。

 


撮影:2019年12月 場所:日本ペイントHD㈱東京事業所
写真右:田中 正明 日本ペイントHD㈱ 取締役会長 代表執行役社長兼CEO
写真左:五神 真 国立大学法人東京大学 総長

  

4.連絡先
国立大学法人東京大学 大学院工学系研究科 広報室
Tel:03-5841-6295 Fax:03-5841-0529
E-mail:kouhou@pr.t.u-tokyo.ac.jp

日本ペイントホールディングス株式会社 広報部
Tel:06-6455-9140 Fax:06-6455-9270
E-mail:nphd-kouho@nipponpaint.jp

以 上 

 


プレスリリース文書はこちらからご覧ください。

調印式、五神総長および日本ペイントホールディングス田中社長メッセージはこちらから(動画)