岸本 史直 講師が特定放射光施設ユーザー協同体 第15回 Young Scientist Awardを受賞されました

2026/09/15

2026年9月4日、化学システム工学専攻 岸本 史直 講師が特定放射光施設ユーザー協同体 第15回 Young Scientist Awardを受賞されました。

 

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特定放射光施設シンポジウム2026での授賞式にて

 

特定放射光施設ユーザー協同体 第15回 Young Scientist Award

Young Scientist Awardは、SPring-8、SACLAまたはNanoTerasuの利用法や解析手法の開発に関する、顕著な成果を創出した若手研究者、または測定手法や解析手法が確立された方法であってもSPring-8、SACLAまたはNanoTerasuの特徴を活かして分野に顕著な成果を創出した若手研究者に与えられる賞です。

 

受賞された研究内容・活動について

我々の研究グループでは、化石燃料の燃焼に依存しないクリーンな化学工業プロセスの実現を目指し、マイクロ波エネルギーで駆動する次世代型化学反応器の開発に取り組んでいます。こうした新しい化学反応技術を切り拓くには、反応中に原子レベルでどのような現象が起きているのかを正確に理解することが不可欠です。
今回の受賞対象となった研究の基盤は、兵庫県の大型放射光施設SPring-8における新たな実験手法の開発です。我々は、100 keVを超える高エネルギーの硬X線を物質に照射し、材料中の原子の配置を調べる手法に着目しました。数年にわたる試行錯誤を経て、独自のマイクロ波加熱セルを開発し、マイクロ波照射中の原子の配置を観測できる「その場硬X線全散乱測定法」を確立しました。
この手法により、特定のイオンを選択的に加熱する「マイクロ波単一イオン選択加熱」という新概念を実証し、世界に先駆けて論文として発表しました。さらに、この概念をメタン転換反応や二酸化炭素還元反応などに応用し、触媒反応を制御できることを実証しました。これらの成果を通じて、マイクロ波を用いた新しい触媒反応制御法を示すことができました。


今後の抱負・感想

近年、欧米諸国を中心に、スタートアップ企業などによるマイクロ波駆動型化学反応器の開発が活発化しています。日本がこの潮流に遅れを取らず、独自の技術を発展させていくためには、単なる熱源の置き換えにとどまらない「マイクロ波ならでは」の現象を一つひとつ解き明かし、確かな基礎的理解に基づいて応用研究を着実に進めることが重要だと考えています。
今回の受賞を励みに、我々の研究グループでは、マイクロ波で駆動する化学反応を原子レベルから理解するための学理の構築に引き続き取り組んでいきます。さらに、得られた知見を社会実装へとつなげ、クリーンな化学工業プロセスの実現に貢献する成果を生み出していきたいと考えています。

 

 

特定放射光施設ユーザー協同体 第15回 Young Scientist Award:https://spruc.jp/ja/YSA_spruc2026dec.html