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講師 知能機械情報学専攻(大学院情報理工学系研究科)/ 機械情報工学科 | 竹内・聶研究室(バイオハイブリッドシステム研究室)

研究について
私は、機械工学と情報科学のものづくり技術(微細加工、3Dプリンティング、ロボティクス)を、バイオテクノロジーと融合させる研究をしています。目指しているのは、生きた細胞からつくる「培養組織」を、これまでにない大きさや複雑な形に育てることです。
細胞は栄養や酸素が届く範囲でしか元気に育たないため、厚みのある組織をつくるのは容易ではありません。そこで、髪の毛ほどの細さの中空糸(人工の血管)を規則正しく並べ、組織のすみずみまで栄養を届ける仕組みを開発しました。この技術により、厚くて大きな培養筋肉を均一に育てられるようになりました。これは「培養肉」として食に応用できるだけではありません。筋肉はそのままロボットの動力源(アクチュエータ)にもなるため、大きく育てられることは、より大きな力を出すバイオハイブリッドロボットの実現に直結します。
さらに、培養した皮膚をロボットの指や顔などの曲面にぴったりと貼り付ける技術も開発しています。生き物の皮膚が体の内側につなぎとめられている仕組み(皮膚支帯)をまねた微細な「アンカー構造」を使うことで、縮みやすい培養皮膚を複雑な形の上に安定して固定できます。この技術は、人間らしい見た目と自己修復能力をあわせもつロボットの実現につながるだけでなく、生きた皮膚モデルとして化粧品や医薬品の開発・評価にも役立ちます。
機械・情報の技術とバイオテクノロジーを融合させ、「生きた材料でものをつくる」。この考え方は、動物を育てずに肉をつくる細胞農業、けがや病気を治す再生医療、そして生体のやわらかさや自己修復力をもつ新しいロボット(バイオハイブリッドロボット)など、幅広い分野への応用が期待されています。

今後の展望・抱負
生き物の体は、鉄やプラスチックやゴムでできた機械とは、まったく違う考え方でつくられています。たとえば私たちの皮膚は、約30日ですべて新しく入れ替わり、傷ついても自分で治り、環境に応じて自らかたちを整えていきます。こうした自己修復と自己組織化の力を、人がつくる機械にも持たせたいです。いつかSF映画が現実になる日を夢見ながら、日々研究に取り組んでいます。工学・情報・生物学の境界を越え、生体機能をそなえた新しいものづくりの学問を、次世代の研究者とともに築いていきたいと思います。
オフショット ―研究者の素顔を紹介―
中国からやってきました。苗字の「聶」の由来はよく聞かれますが、たぶん、ご先祖様の耳が三つあったのだと思います(本当に?)。あんまり関係ないのですが、手塚 治虫の『三つ目がとおる』は昔から好きでした。
サッカーは20年以上のファンで、インテル・ミラノ一筋。ワールドカップ2026は、いい試合ばかりでした!インテル選手のラウタロがいるアルゼンチンをサポートします!
映画も世界中のものを観ます。とくに黒澤 明が好きで、ほぼ全作品を観ました。映画を観すぎた結果、今度は撮る側の道具、つまりカメラに興味を持つようになりました。光の当て方や切り取り方ひとつで、同じ被写体がまったく違う表情を見せる。その面白さに惹かれてきました。そしてこの感覚が、意外にも研究で役に立っています。培養した組織を撮影するときも、結局は「どう光を当て、どう切り取るか」を考えている自分がいます(笑)。
メディアインタビュー掲載(動画あり):Scientists put living skin on robot that can heal when cut and has wrinkles too(euronews)
東京大学 UTokyo FOCUS:TIME Best Inventions 2025に培養チキンが選出 ―竹内昌治教授の研究室による成果が世界で評価(2025年10月10日)
Nature(News, 2025年4月16日):Winner, winner, lab-made dinner! Team grows nugget-sized chicken chunk
プレスリリース(東京大学):世界初!生きた皮膚で覆われたロボット ―修復能をもつ培養皮膚付きロボットの開発に成功―(2022年6月10日/Matter)
プレスリリース(東京大学):生きた皮膚を持つロボットの顔 ―皮膚支帯構造に着想を得た、ロボットへの皮膚組織固定手法を開発―(2024年6月26日/Cell Reports Physical Science)
Nature(Research Highlight, 631, 11, 2024年6月27日):Smile! Living skin helps robot make a happy face
※所属・職位は取材当時のものです。


