酒井 康行 教授が2025年度化学工学会学会賞(池田亀三郎記念賞)を受賞されました

2026/03/25

2026年3月17日、化学システム工学専攻 酒井 康行 教授が2025年度 化学工学会学会賞 (池田亀三郎記念賞)を受賞されました。

 

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2025年度化学工学会学会賞(池田亀三郎記念賞)

2025年度化学工学会学会賞(池田亀三郎記念賞)は、化学工学に関する優れた研究を行い、学術上特に大局的に顕著な業績のあった個人に対して、毎年最大2名に贈られます。

 

受賞された研究内容・活動について 

受賞題目は「物質輸送の制御に基づく細胞培養系の革新」で、細胞培養における酸素・栄養素・老廃物・増殖因子等の物質輸送や反応の化学工学的な理解に基づいた研究成果です。1つ目はヒトへの化学物質や薬剤評価のための細胞培養系における酸素供給の抜本的改善に関するものです。60年前に指摘されながら、現在まで根本的な解決がなされなかった培養プレートの酸素供給フラックス不足を、ガス透過性の膜を活用することで解消、生体と同じ好気呼吸を培養系で実現しました。2つ目は再生医療のための幹細胞大量生産の効率化・低コスト化に関するものです。幹細胞凝集体の浮遊攪拌培養にて、透析操作の導入による超高密度化を行い、自己組織化能の発現の一つである内因性因子の濃縮を達成、結果的に高コストの原因である外因性増殖因子の使用量を約1/10への低減することに成功しました。いずれも既存の手法や考え方を大きく革新する可能性を持ったもので、その成果の一部は新たな培養プレートやマイクロフィジオロジカルシステム(生理学的な微小細胞培養系)の実用化にも結実しています。 

 

今後の抱負・感想

細胞評価系に関しては、人体と同じ応答をする培養臓器をどうしたら構築できるか、幹細胞増幅では高コストを何とか解決したいという問題意識から行ってきた研究成果です。いずれも、生体内の物質輸送や反応とそれらの結果としての細胞の代謝や分化・増幅で見られる合理性に学び、様々な先進的な技術やマテリアルを使用することで達成し得ました。今回の受賞は、様々な研究者や研究室のスタッフ・学生との共同の成果に関するもので、改めて皆様に感謝申し上げるとともに、冒頭の問題意識に立ち研究と成果の社会実装に引き続き努力したいと思います。

 

 

 

2025年度化学工学会学会賞(池田亀三郎記念賞)