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若手研究者紹介:小山 翔一講師

 

 

 

 

【経歴】
2009-2014 日本電信電話株式会社 研究員
2014 東京大学 博士(情報理工学)
2014-2018 東京大学大学院情報理工学系研究科 助教
2016-2018 日本学術振興会 海外特別研究員(パリ第7大学)
2018- 東京大学大学院情報理工学系研究科 講師
2018- JSTさきがけ研究者(兼任)
2018- 平成30年度 東京大学卓越研究員

【研究について】
音メディアは、コミュニケーションや芸術表現の手段として、我々にとってとても身近なものです。人間同士のコミュニケーションにおいて、音声は最も原始的なツールの一つと言えますし、遠隔コミュニケーション手段としての電話も、形を変えながら現在でも広く利用されています。放送メディアや、人とコンピュータとのインタラクションにおいても音は欠かせません。また,音楽をはじめとして、音を使った芸術表現も多様です。
我々の研究室では、音信号の中から欲しい情報を抽出したり、望みの音信号を合成する、信号処理技術の研究を行なっています。物理音響学や統計的性質に基づく音信号のモデリング手法、逆問題や最適化,機械学習などの数理的手法を駆使した、新しい技術の研究・開発に取り組んでいます。
例えば、音のVR/ARを目的とした音場再現技術では、複数のスピーカを用いて所望の音空間を合成する技術の研究を行っています。これは人間の聴覚特性を利用するステレオフォニック・サラウンド方式と異なり、広い受聴領域での音の物理的な再現を可能とします。数理的にはこのような問題も逆問題の一種と捉えられ、これまでに、波数領域表現に基づく収音・再現技術や、スパースモデリングに基づく超解像化などの研究を行なっているほか、リアルタイムでの音空間伝送システムも実現しています。

 

参考文献/References:
- S. Koyama and L. Daudet, “Sparse representation of a spatial sound field in a reverberant environment,” IEEE J. Sel. Topics Signal Process., 13 (1): 172-184, 2019.
- S. Koyama, N. Murata, and H. Saruwatari, “Sparse sound field decomposition for super-resolution in recording and reproduction,” J. Acoust. Soc. Amer., 143 (6): 3780-3895, 2018.
- S. Koyama, K. Furuya, H. Uematsu, Y. Hiwasaki, and Y. Haneda, “Real-time sound field transmission system by using wave field reconstruction filter and its evaluation,” IEICE Trans. Fundamentals, E97-A (9): 1840-1848, 2014.
- S. Koyama, K. Furuya, Y. Hiwasaki, and Y. Haneda, “Analytical approach to wave field reconstruction filtering in spatio-temporal frequency domain,” IEEE Trans. Acoust. Signal, Lang., Process., 21 (4): 685-696, 2013.

 

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【今後の抱負】
スマートスピーカなどのように、音メディア処理が重要な役割を果たしているデバイスやサービスは現在でも生まれてきていますが、未だに解決できていない課題も多く残されています。新たな文化や芸術表現を生み出すことができるような新しい技術を創出し、学術界・産業界問わず広く貢献していきたいと考えています。

システム情報第一研究室:http://www.sp.ipc.i.u-tokyo.ac.jp/