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安 琪 特任助教が 船井情報科学振興財団 研究奨励賞を受賞されました

 

精密工学専攻 安 琪 特任助教が、船井情報科学振興財団 研究奨励賞を受賞されました。この賞は、情報技術,情報科学に関する研究について顕著な業績のあった者を褒賞し、わが国の情報技術、情報科学に関する研究の向上、発展に寄与した者に与えられるものです。

 

 

<受賞された研究・活動について>
 高齢社会において、高齢者の生活の質を改善し、日常生活動作を支援するためには、ヒトの運動メカニズムを理解する必要がある。しかしヒトの身体は冗長な自由度を持っており、同じ運動をしているように見えても、その運動はばらついている。従来研究ではヒトがこれらの冗長自由度をどのように制御して、運動を実現しているのか分かっていなかった。
これに対して本受賞研究では、ヒトの日常生活の起点となる起立動作に対して、特にヒトのばらついた運動を計測・解析する解析的手法と,順動力学シミュレーションを用いて要素から運動を再構成する構成論的手法の2つの方法論からメカニズムを解明した。解析的手法では、ばらつく運動を説明することができる要素(必要条件)を明らかにすることができるが、それが十分条件であることは確認できない。また実際に達成された運動を対象にするために、転倒のように失敗した運動は扱えず、動作を成功に導く条件は分からない。それに対して構成論的手法では、解析から得られた要素が十分条件であることを確認でき、また立つことのできない運動も扱えるため、実際に運動を成功させる条件の同定が行える。
これらの方法論から、解析的手法では、ヒトが異なる環境においても個々の筋を調整せずに、筋シナジーと呼ばれる小数のモジュールのパラメータを調整することで適応的に運動を生成することを示し、解析的手法では、計測実験から得られない、起立の達成と転倒を分ける条件を導出することができた。

 

<今後の抱負・感想>
このような素晴らしい賞を頂くことができて、非常に光栄です。今後の研究では、得られた知見をもとに、高齢者や片麻痺患者などにおける身体機能の低下の原因を同定し、それらを支援する技術の開発を行いたいと考えております。

 

関連リンク:http://www.funaifoundation.jp/grantees/young_awardees_up_to_now_15.html