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2021.06.07

【受賞/表彰等】池田教授(東大d.lab)が電子情報通信学会の業績賞を受賞

 

東京大学大学院工学系研究科附属システムデザイン研究センターの池田誠教授と浅田邦博東京大学名誉教授が2021年6月3日、東京大学大規模集積システム設計教育センター(VDEC)における集積回路設計教育研究に関する業績で、電子情報通信学会の業績賞を受賞しました。

大規模集積システム設計教育研究センター(VDEC)は1996年に全国共同利用施設として東京大学に発足以来、日本の大学における集積回路の設計教育・研究に多大な貢献をもたらしてきました。
VDEC開設以前の日本の集積回路設計は設計に必要なEDA (Electronic Design Automation)ツールの調達や試作の契約を個々の研究者が行わなければならず、その金銭コストと人的コストは甚大で、結果として集積回路設計研究に携わる大学の研究者は僅少でした。
VDECはEDAツールの一括契約とそのライセンスの高専・大学への供給、設計データを一括して集めて安価に試作を行うシャトルサービスの提供を行い、教員ならびに学生の負担を大きく低減し、日本のアカデミック分野の裾野の拡大に大きな役割を担ってきました。EDAツールのライセンス数は開設当初は2000程度でありましたが、2005年には1万を超えています。試作チップ数も開設年度は100にも満たなかのが、2006年には500を超えました。なお、開設前はゼロに近い年間一桁でした。試作可能なプロセスは開設当初から現在も続いている非常に安価な1.2/0.8μmプロセスに加え、0.6μm、0.5μm、0.35μm、0.18μm、0.15μm、90nm、65nm、45nm、28nmとプロセスルールの微細化とともに試作プロセスも変遷しつづけVDEC発足来24年間で8,100品種を超える試作が行われています。
EDAツールの使用方法の講習会であるCAD講習会を1997年より、社会人と学生向けのハンズオンチュートリアル的なリフレッシュ教育を1998年より開催し、ともに現在に至るまでUPDATEを続けながら連続して開催しています。さらに、若手研究者と学生の情報交換の場として1997年にVDECを支える若手の会を開催し、翌年の1998年よりデザイナーズフォーラムと改称し24回で1,000名を超える参加者となり、情報交換のみならず学生が設計した回路の表彰の場も設け、学生の研究意欲向上にも繋がっています。結果としてこれまで24年間でVDEC活動に関連した論文発表件数は16,000件を超えるに至っています。

受賞者は大規模集積システム設計教育研究センター(VDEC)における集積回路設計教育研究活動を通した人材育成に尽力され多大な成果を挙げています。受賞者(浅田)は、VDEC設立時のセンター組織の基本設計と活動基本方針を作成し、2000年からその定年退職の2018年まで18年に渡りVDECセンター長を務め、その運営に多大な貢献をしました。受賞者(池田)はVDEC設立と同時に助手として採用され、助教授、准教授を経て2013年より教授を務め、VDEC全般の業務に深く携わってきました。またVDECは2019年に東京大学システムデザイン研究センター(d.lab)の発足に伴う改組によりその一部門として再スタートを切っています。受賞者(池田)は改組後にd.labの基盤設計研究部門の部門長として引き続き、EDAライセンスの供給と試作データの取りまとめという旧VDECの2大事業の取りまとめを行っています。以上の通り、VDECにおける受賞者らの20年以上にも渡る貢献は日本の集積回路分野の発展に欠かせぬものであり、その献身的な活動は業績賞に該当する極めて大きな業績であると評されています。



EDAツールの利用研究室数


EDAツールの利用ライセンス数


チップ試作の設計数

(1) 浅田邦博,アナログ電子回路―VLSI工学へのアプローチ,昭晃堂,東京,1998.
(2) 浅田邦博監修,池田誠他著,ディジタル集積回路の設計と試作,培風館,東京,2000.
(3) 浅田邦博監修,システムLSI設計自動化技術の基礎―パブリックドメインツールの利用法 ,培風館,東京,2005.
(4) 浅田邦博編集,アナログRF CMOS集積回路設計 基礎編/応用編,培風館,東京,2010/2011
(5) 浅田邦博監修,はかる×わかる半導体 入門編,日経BPコンサルティング,東京,2013.
(6) 浅田邦博,集積回路設計,コロナ社,東京,2015.
(7) 浅田邦博監修,はかる×わかる半導体 応用編,日経BPコンサルティング,東京,2019.
(8) 池田誠,MOSによる電子回路基礎,数理工学社,東京,2011.
(9) 池田誠,NANO-CHIPS 2030, Springer, ドイツ, 2020

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