プレスリリース

2020.12.22

液体が固まる「ゲル化過程」の普遍法則を解明〜 ゼリー・ヨーグルト・豆腐・医用材料:やわらかくウェットな物質開発の指導原理 〜:バイオエンジニアリング専攻 作道直幸 特任助教、安田傑 M2、酒井崇匡 教授ら

東京大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻の作道直幸特任助教、安田傑大学院生、酒井崇匡教授らは、ゼリー・ヨーグルト・豆腐など、液体を固めて作製されるやわらかくウェットな物質群の「ゲル化過程」に共通の普遍法則を発見しました。
ゼラチン液が固まってゼリーになる、牛乳が固まってヨーグルトになる、と言った現象は、ゲル化と呼ばれます。液体が固体状のゲルに変わる理由は、ポリマー溶液中のポリマーがつながり、大量の水を含む巨大な三次元網目構造を形成するからです。ゲルの保水力を決める浸透圧はゲル化の過程で大幅に減少しますが、その変化を統一的に説明する法則は知られていませんでした。
本研究では、ゲル化過程を模倣したサンプルを作り分けることにより、液体状のゾルから固体状のゲルまでのゲル化過程の浸透圧変化の正確な測定に成功しました。測定結果を、普遍的状態方程式の観点から解析した結果、ゲル化過程の浸透圧は、ゼリー・ヨーグルト・豆腐などの物質の種類に依らず、共通の普遍法則で説明できることを発見しました。
ゲルは、医用材料としても幅広く用いられています。本研究成果により、「経験と勘」によるトライアンドエラーを減らし、数学的な普遍法則に基づいて、超高齢社会に向けた医用材料開発が可能となります。
今回の発見は、ノーベル賞受賞者ドゥジェンヌ博士が発見したポリマー・磁性体対応に基づきます。この対応は、鉄が磁石に変わる磁性転移、液体ヘリウムの超流動転移、素粒子のクォーク・グルーオンの相転移など、様々な臨界現象にも共通です。本研究成果は、様々な物理学分野の研究を踏まえて着想されており、役に立たないと思われがちな基礎研究が新規ゲル材料開発という近い将来に役に立つ研究に結びつく好例と言えます。
本研究成果は、米国物理学会発行の学術雑誌「Physical Review Letters」のオンライン版に米国東部時間12月21日に掲載されました。



プレスリリース本文:/shared/press/data/setnws_202012221023544573558575_595576.pdf

日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP602158_R21C20A2000000/