株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)と国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(中尾研究室教授:中尾 彰宏、以下、東京大学)は、スマホのWi-Fi/BLE※1無線信号を活用し、店舗などのエリア内に来訪する人流の数を低コストかつ簡易に推定する「人数推定AIシステム(以下、本技術)」を共同で開発し、実証実験(以下、本実証)を行いました。本実証では、来訪者が持つスマートフォン(以下、スマホ)の端末台数検知に本技術を適用し、時間帯別の混雑度など店舗内の人流を約90%の精度で推定※2できることを確認しました。
本技術は、端末の無線信号を収集するセンサーを計測位置に設置し、計測されるスマホの台数と人数の関係性を学習したAIと組み合わせ、簡易に店舗内の人数測定を行うものです。高価な計測用機器を必要とせず、Wi-Fi/BLEセンサーを活用することで導入や運用コストの低減が可能で、既存の人数カウント手法であるAIカメラと比較し、1/10のコストで導入可能とすることをめざしています。また、スマホアプリやご利用者が契約されている通信会社に依存しない方式とし、無線信号から収集する情報は匿名化・ハッシュ化などにより個人を特定できない形で取り扱うことで、ご利用者の個人情報や通信内容がわからない形※3で人流を可視化することに成功しました。小型店舗からショッピングモールのような大規模な店舗まで、街のあらゆる店舗内の人流をミクロな粒度で可視化します。
【本技術の特長】
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既存の人数カウント手法であるAIカメラ等と比較し、コストを大幅に減らして導入可能
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個人を特定する情報を収集せずプライバシー侵害リスクがない
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取得できるメッシュが数m単位のため屋内のミクロエリアで分析可能
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手のひらサイズの非常に小型なセンサーを用いるため、
既存の設備や店舗デザインを損なわず省スペースでの設置が可能
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屋内外問わず人流を把握したい場所への導入が容易で、屋外のイベントでも利用可能
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障害物の影響を受けにくく、導入の制約が少ない
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カウント対象者側でアプリインストールなど設定の必要がない
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カウント対象者の端末種別、キャリア問わずカウントが可能
(Wi-Fi/BLEの電波を発する状態のスマートフォンを所持している人が対象)
【本実証の結果】
本実証は、愛知県名古屋市にあるd garden名古屋栄店の複数箇所にセンサーを設置し検証を行いました。本技術を用いて推定したデータと来訪者の実測値や施設運用データを突合し、時間帯別の混雑トレンド、各エリアの占有率などの状況を、約90%の精度で推定できることを確認しました。今後は、検証対象のエリアや季節イベントなどの条件を拡大し、精度の安定化と適用範囲の拡大に取り組みます。
ドコモと東京大学は、本技術を活用して実店舗や施設のグロースマーケティングの実現をめざします。また、実フィールドでの新たな共創を加速するため、ディベロッパー、商業施設、自治体、ソリューション提供企業などのパートナーを広く募集し、街区・施設単位での実証やサービス連携を進めてまいります。
※1 BLE(Bluetooth Low Energy)の略称。近距離無線通信規格の一つ。
※2 推定精度は、端末保有率や設置環境、電波環境、混雑度などにより変動します。
※3 本技術では、無線センサーが取得する機器識別子は匿名化・ハッシュ化などにより個人を特定できない形で取り扱い、個人情報や通信内容の取得・保存は行いません。利用目的の掲示や取得項目の最小化など、関連法令・ガイドラインに準拠して運用します。
本実証の概要
1. 本実証の目的
スマートフォンが発するWi-Fi/BLEの電波を収集し、端末数から人数を推定する方式により、低コスト・高精度・プライバシー配慮した形で推定可能なソリューションの実現をめざします。
本実証では、1フロア内を複数の小エリアに分割し、エリアごと・時間ごとの人数を高精度に安定的に推定できるかの検証を目的としています。
2. 両者連携の背景と意義
施設等の運用現場において「アプリやカメラに依存せず、プライバシーに配慮しながら、人数を安価に把握したい」という要望が高まっている中、ドコモはWi-Fiセンサー及びAIの開発とサービス化の知見を、東京大学は超小型BLEセンサーの設計や計測・評価ノウハウを有しており、店舗環境に溶け込む省スペースなデバイスの実装を実現しました。両者の強みを掛け合わせることで、学術的な妥当性と社会実装の両立をめざします。
本連携により、従来のAIカメラ等と比べて導入・運用コストを大幅(1/10程度)に抑えることを目標とし、個人を特定しない方式で1フロア内の小エリア単位の人数可視化を実現する基盤を構築し、商業施設やイベント会場などでのデータドリブンな運営やマーケティングを可能にします。
3. 実証実験概要
対象店舗を8つのエリアに区分し、各エリアに設置したセンサーから取得した無線信号をもとに、エリア内のスマホ端末台数をiOS、AndroidのOS別で算出し、AIで人数へ変換します。これにより、各エリアの人数を時間単位で集計し、混雑度をリアルタイムに把握できるかの検証を行いました。
【実験の流れ】
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Wi-FiセンサーおよびBLEセンサーから周辺端末の無線信号を取得
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各センサーデータを組み合わせ、エリア内のiOS/Android端末台数(および総端末台数)を算出
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算出したOS別端末台数をAIに入力し、人数へ変換
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場所や時間帯などに応じた「端末台数と人数の関係性」をエリアごとに学習済みモデルとして適用
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推定結果をリアルタイムに可視化し、ターゲットエリアの人数・混雑度を継続的に把握
【設置期間】
2026年3月1日(日)~2026年3月30日(月)
【対象店舗】
d garden名古屋栄店(愛知県名古屋市)
【結果】
推定精度約90%であることを確認しました。

図.本実証イメージ
4. 各者の役割
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ドコモ |
検証場所の提供(d garden名古屋栄店) Wi-Fiセンサーを用いた位置推定アルゴリズムの開発 エリアごとの人数推定AIの開発 |
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東京大学 |
BLEセンサーを用いた位置推定アルゴリズムの開発 センサーデータを用いたデバイス台数推定アルゴリズムの開発 台数推定システムのアーキテクチャ設計 |
プレスリリース本文:PDFファイル
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