東京大学大学院工学系研究科の関野正樹准教授、金東珉特任研究員、横田知之准教授、および染谷隆夫研究科長・教授らは、ニューロンを光で刺激することができる、フィルム状の有機ELデバイスを開発しました。
このデバイスは、光応答性ニューロンの刺激に有効な青色の光を発生し、曲がった状態でも発光することができます。デバイスを用いて運動ニューロンを刺激すると、筋肉の収縮が観察されました。このデバイスは、これまで用いられてきた光ファイバーや硬いLEDなどと異なり柔軟で、光の照射が均一であるため、神経へ留置しても機械的損傷による炎症反応を誘発せず、局所的な発熱も見られませんでした。また導電層が薄いため、一般的に金属含有体を苦手とするMRIの中でも問題無く使用でき、脳への光刺激によって誘発される脳活動を検出することができました。
将来、神経や筋肉の難病を治療するために組織へ幹細胞を導入する手法が期待されており、幹細胞に光を照射することによって分化を誘導するデバイスへの応用などが期待されます。
本研究成果は、2020年8月17日(米国時間)に米国アカデミー紀要「Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America」のオンライン版で公開しました。
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日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP539055_Y0A810C2000000/