ゼオライトなど、準安定相として形成される材料は、その生成過程が速度論的な要因の影響を強く受けるため、目的に応じた最適な構造を有する材料を選択的に結晶化させることは困難であると考えられてきました。
このような課題に対して、東京大学大学院工学系研究科の大久保達也教授は、同Watcharop Chaikittisilp助教 (現: 国立研究開発法人物質・材料研究機構(NIMS))、村岡恒輝大学院生 (現: 米国カリフォルニア大学バークレー校/ローレンスバークレー国立研究所)、佐田侑樹大学院生らと共同で、大規模なゼオライト合成のデータベースを構築し、材料合成条件の類似性と、結晶化した材料の構造の類似性との間に関連性があることを導き出しました。
この関連性の導出にあたっては、長年積み上げられてきたゼオライト合成の文献データに、近年開発された勾配ブースティング法と呼ばれる機械学習アルゴリズムと決定木を適用しました。またゼオライト結晶構造の分析はグラフ理論に基づき行いました。
本研究成果は、これまで理解が困難であった、熱力学的に準安定相として得られる材料の合成の理解にも広く貢献するものと期待され、英国Nature Publishing Groupの発行するネイチャー コミュニケーションズ誌 (Nature Communications) に2019年10月1日(ロンドン時間)付で掲載されました。

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Nature Communications:https://www.nature.com/articles/s41467-019-12394-0
日刊工業新聞:https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00533950