プレスリリース

2016.07.05

幻の「マヨラナ粒子」の創発を磁性絶縁体中で捉える -電子スピンの分数化が室温まで生じていることを国際共同研究で実証- :物理工学専攻 求(もとめ)幸年教授ら

東京工業大学理学院の那須譲治助教と東京大学大学院工学系研究科の求(もとめ)幸年教授は、ケンブリッジ大学のJohannes Knolle研究員、Dmitry Kovrizhin研究員、マックスプランク研究所のRoderich Moessner教授とともに、量子スピン液体を示す理論模型に対して大規模数値計算を駆使することで、磁気ラマン散乱強度の温度変化が、幻の「マヨラナ粒子」を色濃く反映することを見出した。この結果は、磁性絶縁体の基本構成要素である電子スピンがより小さな単位へと分裂する「分数化」という現象が、広い温度領域にわたって生じていることを意味する。さらに、この理論計算の結果が、カナダと米国の共同研究によって得られていた磁性絶縁体の塩化ルテニウムに対する実験結果と非常に良い一致を示すことを見出した。このことは、電子スピンの分数化によって創発されたマヨラナ粒子が、現実の物質中で室温程度まで存在することを強く示唆するものである。本研究で提案する創発マヨラナ粒子による量子スピン液体の実証方法は、低温極限にのみ着目してきた従来のものとは一線を画すものであり、他の量子スピン液体への応用が期待される。また、この幻の粒子を追い求めてきた素粒子物理学や量子情報などの周辺分野にも大きな波及効果をもたらすものである。
本研究成果は7月4日発行の英国の科学雑誌「ネイチャー・フィジクス(Nature Physics)」電子版に掲載される。

プレスリリース本文: /shared/press/data/setnws_20160705102631416211849015_022778.pdf

Abstract URL: http://www.nature.com/nphys/journal/vaop/ncurrent/full/nphys3809.html?WT.feed_name=subjects_physics