プレスリリース

伝導電子に浮かび上がる磁気構造~ナノスケールの磁気渦構造をなす新機構への手がかり~:物理工学専攻 速水 賢 講師、野本 拓也 助教、求 幸年 教授、総合研究機構 関 真一郎 准教授ら

 

理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター創発物性計測研究チームの安井勇気特別研究員、クリストファー・バトラー基礎科学特別研究員、花栗哲郎チームリーダー、強相関量子構造研究チームのヌイェン・ドゥイ・ カーン特別研究員(研究当時)、東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻の速水賢講師、関真一郎准教授らの共同研究グループは、ナノメートル(nm、1nmは10億分の1メートル)サイズの磁気渦構造が伝導電子に現れることを発見しました。
本研究成果は、空間反転対称性のある物質における磁気渦構造の新たな機構の解明に貢献すると期待できます。
磁気渦構造を実現させるには空間反転対称性の破れが必要であると考えられてきましたが、2019年にこの常識が覆され、空間反転対称性のある物質において磁気渦構造が観測されました。
今回、共同研究グループは、走査型トンネル顕微鏡/分光法(STM/STS)を用いて、空間反転対称性のある希土類合金GdRu2Si2(Gd:ガドリニウム、Ru:ルテニウム、Si:ケイ素)において、局在電子が生み出す磁気渦構造が伝導電子に影響を与えていることを明らかにしました。これは、空間反転対称のある物質における磁気渦構造の実現に伝導電子が寄与していることに、初めて実験的な知見を与えるものです。
本研究は、オンライン科学雑誌『Nature Communications』(11月23日付:日本時間11月23日)に掲載されました。



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科学技術振興機構:https://www.jst.go.jp/pr/announce/20201123/index.html

日本経済新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP600502_Q0A121C2000000/